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    慢性鼻炎(鼻窒)とその周辺疾患(慢性咽喉頭炎、慢性副鼻腔炎)との違い 2 平成26年6月8日
 

5)治療薬の分析

 

気管支拡張症

慢性副鼻腔炎

慢性鼻炎

清熱解毒

魚醒草、野蕎麦根、白花舌蛇草

袪肺熱は当然。
肝胃の熱をとる
竜胆草、黄芩、柴胡
山梔子、連翹が多い

袪肺熱が主体。
金銀花、黄芩、連翹
袪肝熱は少ない
(老中医は肺胃熱ありとする)

排膿

葦茎湯

芦根すこし
●干祖望は芦根30良く使う
白芷が多い

芦根少しだが
白芷、桔梗が多い

通鼻

 

蒼耳子、白芷、辛夷

辛夷、蒼耳子、細辛、白芷、石菖蒲、薄荷

活血

すくない

少ない、稀

活血が多い
桃仁、紅花、川芎、三稜、莪朮、路路通

その他

麻黄剤
補陰剤
清肝火

芳香化湿(藿香、佩蘭)が良いとする
芙蓉もよい
肺熱以外に肝胆胃熱をとる

開窮>路路通、石菖蒲

芳香では薄荷、石菖蒲が多い。

結論

①副鼻腔炎、慢性鼻炎では葦茎湯使用ない。拡張症とくらべて排膿の考えがすくない。干祖望が芦根をよく多用している。ただ通鼻の白芷や桔梗に排膿作用はある。
②通鼻はすべて辛温なので、熱証の時にはよくない。清熱剤の加味がいる。
③副鼻腔炎では肺熱、肝胆熱とるために竜胆草、黄芩、山梔子がおおい。
慢性鼻炎では肺熱とるため黄芩、金銀花、連翹が多い。下鼻甲の肥厚とるため活血(桃仁、紅花、川芎、三稜、莪朮、路路通)が多い。
④副鼻腔炎、慢性鼻炎ともに通鼻の薬と芳香化湿。
⑤肺胃熱をとるために黄芩知母、涼膈散(連翹125黄芩30山梔子30竹葉3蜂蜜、大黄60芒硝60甘草60)、石膏
⑥通鼻薬


細辛

辛温:肺腎

袪風,散寒止痛、温肺化飲、通鼻窮

辛夷

辛温、肺胃

散風寒、通鼻窮

白芷

辛温、肺胃

解表、袪風燥湿、消腫排膿、止痛。「治鼻塞」

蒼茸子

辛苦温、小毒、肺

通鼻窮、袪風湿、止痛

 

 

 

薄荷

辛涼、肝肺

疏散風熱、清理頭目、利咽、透疹

石菖根

辛温、心胃

開窮寧神、化湿和胃

麝香

辛温、心脾

開窮醒心、活血散結、止痛、催産

●薄荷は本草備要では「辛香通窮」する。
●石菖根は本草備要では「芳香で利九窮、明耳目する」
●麝香は本草備要では「通諸窮」
●蒼耳子散「蒼耳子7.5辛夷15薄荷1.5白芷30」

⑥通鼻とはなにか


細辛506

①解熱、鎮痛、抗炎症作用、②抗アレルギー作用
③気管支平滑筋痙攣抑制作用
④グラム陽性菌、枯草菌、インフル桿菌、真菌抑制

辛夷394

①粘膜からの分泌液減少作用、局部血管拡張作用、
②抗アレルギー作用、抗炎症作用
③黄色葡萄球菌、肺炎球菌、B型連鎖球菌、ジフテリア菌、緑膿菌、大腸菌に抑制作用

白芷232

①解熱、鎮痛、抗炎症作用、②冠血管拡張、
③大腸菌、変形桿菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、コレラ菌、結核桿菌、真菌抑制

蒼茸子360

①黄色葡萄球菌、肺炎桿菌、B型連鎖球菌、ジフテリア菌に対して抗菌作用、②抗炎症作用、鎮痛作用
③細胞性免疫、体液性免疫抑制作用、④降血糖作用

 

 

薄荷862

①中枢神経興奮作用、皮膚毛細血管拡張、汗腺分泌促進、発汗解熱、②呼吸道の分泌促進、粘度低下させ、痰排出を容易にする。③多くの細菌、ビールス、真菌抑制作用
④呼吸興奮、血圧降下作用

石菖根202

①鎮静作用    ②抗ショック作用
③消化分泌液促進、胃腸の異常発酵制止作用、腸管平滑筋痙攣を寛解する

麝香887

①関節炎抑制②中枢神経興奮と抑制
②心筋収縮力増加、心拍出量増加
③男性ホルモン作用、④食道癌、大腸癌、胃がん、膀胱がん抑制作用、⑤IgM抗体増加

結論
①辛温の通鼻薬は、抗菌作用、抗炎症。抗アレルギー作用あり。また血管拡張作用もつのもある。辛温とはいえど局所的な炎症(熱、浮腫、発赤)を抑える作用はあるようだ。

7)排膿と清熱解毒のちがいはなにか


金銀花482

広汎な抗菌作用あり。黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、肺炎球菌、脳膜炎菌、結核菌、大腸菌、インフルエンザ菌、

連翹377

広汎な抗菌作用あり、黄色ブドウ球菌、カタール球菌、溶血性連鎖球菌、インフルエンザウィルス、真菌。制吐作用、

黄芩

①多くの球菌、桿菌、真菌、抗炎症作用
②皮膚の抗アレルギー作用③降圧作用④血小板凝集抑制作用、抗酸化作用、保肝作用⑤抗腫瘤作用

知母

①赤痢菌、インフルエンザ菌、パラインフルエンザ菌、大腸桿菌、肺炎球菌、ブドウ球菌に有効②血糖降下作用③解熱作用④ステロイドの代謝延長作用⑤血小板凝集抑制作用

白芷232

①解熱鎮痛、抗炎症作用
②大腸桿菌、インフルエンザ桿菌、緑膿菌、コレラ菌抑制

栝楼根114

①溶血性連鎖球菌、肺炎球菌抑制
②免疫抑制と免疫刺激作用

 

 

柴胡

①解熱、鎮静、鎮咳、②抗炎症作用、抗肉下腫作用③肝細胞保護作用
④降脂作用、⑤体液免役増強作用,⑥抗腫瘤作用、⑦溶血性連鎖球菌、コレラ菌、結核菌に抑制作用

石膏194              

①解熱、口渇軽減、
②貪食細胞を成熟させて貪食能力高める。

桔梗602

①止咳②白血球の殺傷の能力高める。③マクロファージの貪食作用高める
④毛細血管拡張、⑤鎮静、鎮痛解熱作用、

冬瓜子220

免疫促進作用。抗菌作用は記載なし。→排膿作用はこれと関与か?

芦根365

免役機能高める、リンパ細胞を変化させる。(抗菌作用きさいなし)

薏苡仁861

抗がん作用、心筋興奮作用、体液免役増強作用、排卵作用

紅花608

脳血流増加、血栓抑制、肝繊維化抑制、抗炎症作用

黄耆
679

①体液性免疫、細胞性免疫高める

枇杷葉432

①鎮咳、鎮静、②袪痰、③抗炎症作用④尿糖低下

 

 

十薬494

抗菌作用強い。とくに黄色白色ブドウ球菌。緑膿菌、変形桿菌、パラ大腸菌
白血球の貪食機能高める。胆嚢炎によい。

板藍根433

黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、ウィルス抑制。体液性免役高める。

金蕎麦

1)抗菌作用がある。黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、大腸桿菌、緑膿菌、
2)抗癌作用あり3)マクロファージの貪食作用増強

白花蛇舌草880

1)腹腔内の白血球の貪食作用と細胞毒生T細胞の殺傷作用を高める
2)白血病の癌細胞抑制
3)抗菌消炎作用、緑膿菌、インフルエンザ桿菌抑制作用有る、

丹参164

①マクロファージの貪食作用を高める。
②黄色ブドウ球菌、結核菌抑制作用。  ●緑膿菌も(張志礼p77)

 

結論
①葦茎湯、柴胡、石膏、桔梗は主として免疫機能改善が主体。→排膿が主
②金銀花、連翹、黄連、黄芩、黄柏、苦参、栝楼根、白芷などは抗菌作用が主
→清熱解毒が主。
③両方あるのが、十薬、板藍根、金蕎麦、白花蛇舌草、丹参など

 
 
 
 
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