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    慢性鼻炎(鼻窒)とその周辺疾患(慢性咽喉頭炎、慢性副鼻腔炎)との違い 1 平成26年6月8日
 

1)定義
①教科書121>「鼻窒とは臓腑虚弱で邪が鼻窮に停滞し、鼻閉が時に軽く時に重く、両側性に或いは片側性に反復発作する。下鼻甲介が腫大し、鼻水が主症である、慢性鼻炎に相当する」
2)西洋医学的 
①慢性鼻炎の分類1


慢性単純性鼻炎

粘膜が赤く腫れている状態が継続しているもので、急性鼻炎を繰り返すことで移行するケースが多い

慢性肥厚性鼻炎

炎症が進行し粘膜が硬く厚くなった状態。急性鼻炎、単純性鼻炎からの移行、副鼻腔炎やアデノイド(扁桃肥大)の影響、細かいほこりや化学的刺激など、さまざまな原因がある

②分類2


鼻中隔彎曲症

鼻骨や軟骨の変形

アレルギー性鼻炎

アレルギー物質に過剰反応して粘膜が炎症をおこす

血管運動性鼻炎

血管が膨張して血液がうっ血し、鼻呼吸が出来ない状態。アレルギーの原因が不明という症状で、自律神経の疾患とも考えられる

薬剤性鼻炎

市販の点鼻薬(血管収縮薬:ナファゾリンなど)の使い過ぎで鼻閉する。

慢性肥厚性鼻炎

急性鼻炎の反復やアレルギー性鼻炎から進展、下鼻甲介の腫れが慢性化

慢性萎縮性鼻炎

単純性萎縮性鼻炎は、鼻腔粘膜につくかさぶたが少なく悪臭なし。真性萎縮性鼻炎は、粘膜の変化が強く、汚いかさぶたが鼻の中に多量につき、悪臭する。鼻づまりや頭痛がおこり、嗅覚減退

老人性鼻炎

加齢による。

冷気吸入性鼻炎

寒い空気が鼻に入っただけで鼻が水のような鼻水が出る。スキーヤー鼻など。

味覚性鼻炎

刺激のある熱い物を食べた時に水のような鼻水が出る。例えば、ラーメン、うどん、カレーライスなど。

乾燥性鼻炎

冬の乾燥した空気と暖房による鼻の中が乾燥し症状が出る。

●③鼻閉について(佐藤製薬のネットから)


急性鼻炎、
アレルギー性鼻炎

粘膜が腫れることで鼻閉になる。透明な鼻水が原因ではない。

副鼻腔炎

鼻腔内に粘性の高い鼻水が鼻閉の原因

3)気管支拡張症、慢性副鼻腔炎、慢性鼻炎、慢性咽炎(漫喉痺)の症状の特徴

 

主要症状

 

気管支拡張症

咳嗽、血痰

肺痰熱が主なら痰は黄緑で膿。肝火が加わると喀血する。陰虚火旺、気虚ならの血痰は純血。

鼻渊
(慢性副鼻腔炎)

鼻汁、鼻閉

鼻汁が多いのが主症状。鼻閉は患側で鼻甲は腫脹する。分泌物は多く、鼻茸を形成する。分泌物は中鼻道や臭裂にたまる。頭痛もよくみられる。

鼻窒
(漫性鼻炎)

鼻閉、鼻水

鼻閉は間歇性か交代性、酷いと持続性。下鼻甲介が腫大が主、分泌物は鼻腔や下鼻道に堆積する。

急性、漫性咽炎
(漫喉痺)

咽喉干燥、咽頭痛

急性(風寒、風熱、肺胃実熱)で風寒以外は咽喉干燥ある。当然程度差は違う。慢性(肺腎陰虚、脾胃虚、痰凝血瘀血)で咽喉干燥ある。
●「脾腎陽虚でも症例では虚陽不越で咽喉干燥あり。」
→金匱腎気丸+四物湯+消瘰丸+生地黄

3)病機(中医耳鼻咽喉科、妙法解析)

 

弁証

病機の特徴

気管支拡張症

①痰熱恋肺
②肝火犯肺
③陰虚火旺
④気虚失摂

肺痰熱に、肝火が加わると喀血する。後期には陰虚火旺になっていく

鼻渊134
(慢性副鼻腔炎)

①肺経の風熱、
②胆経の郁熱
③脾胃湿熱
④肺、脾気虚

肺、胆、胃の熱が脳に移行する。
脾胃の湿熱がから肺胃熱になる機序は鼻渊くらい。中耳炎、気管支拡張症でも見られない。(陽明胃経と関与)

鼻窒
(漫性鼻炎)

①肺経郁熱
②肺脾気虚と邪滞
③邪毒久留、瘀血痰濁

肺郁熱と瘀血が重要。
下鼻甲介が肥大するのは瘀血。

慢性咽炎
(漫喉痺)

①肺腎陰虚
②脾胃虚弱
③痰凝血瘀
④脾腎陽虚

漫喉痺は虚火喉痺ともいい、虚火が中心である。急喉痺が反復し、飲食不節から内熱し、陰液損傷しておこる。

●老中医は「慢性鼻炎。慢性咽喉炎でも肺胃熱あり」とする。 →「咽は胃に属し、喉は肺に属する」「経絡では後壁は腎、周辺は脾、肝経」 (資料1)
●肝胆の熱は副鼻腔、気管支拡張症でみられる。慢性鼻炎、咽喉炎でも肝熱とする老師もある。(資料2)
4)弁証  妙法解析130  <教科書では2)と3)のみ>
①慢性鼻炎(鼻窒)


1)
肺経蘊熱、
壅塞鼻窮証

鼻閉は時に軽く時に重い。交替性の鼻閉、鼻水は黄色で量少、鼻気灼熱、口干、咳漱痰黄、舌尖紅、薄黄苔、脈数
検査>鼻粘膜は充血して下鼻甲は腫脹、表面は光滑、柔軟で弾性有。

黄芩湯(黄芩、芍薬、甘草)加減


黄芩、山梔子、桑白皮、甘草

清肺熱解毒

連翹、薄荷、荊芥

疏散風熱通鼻窮

赤芍

清熱涼血

麦門冬

清熱養陰

桔梗

清肺熱、引導薬

●肺郁熱が鼻窮を燻蒸して下鼻甲は腫れ、鼻閉になる。

2)
肺脾気虚、
邪滞鼻窮

鼻閉は時に軽く時に重い。交替性の鼻閉、鼻水は白で粘、寒いと症状はひどくなる、倦怠無力、少気懶言、悪風自汗、咳漱痰白、風邪ひきやすい、納差、便溏、頭重、頭昏、舌淡白苔、脈浮無力、又は緩弱、
検査>鼻粘膜、鼻甲は淡紅腫脹。

①温肺止流湯
(細辛、荊芥、人参、甘草、訶子、桔梗、魚脳石、五味子、白朮、黄耆)

②または補中益気湯合玉屏風散
●「寒湿が鼻窮に停滞して鼻閉になる。」

3)
邪毒久留
血瘀鼻窮証

鼻閉は酷く、持続性。
鼻汁は粘黄、或いは粘白、声は重濁して頭脹頭痛、耳閉重聞、臭覚減退、舌暗紅、瘀点、脈弦渋
検査>鼻粘膜は暗紅肥厚、鼻甲は肥大して硬い、表面は凸凹、桑椹状。

●気血瘀阻のため鼻甲は暗紅肥厚して鼻閉になる。

①通窮活血湯


桃仁、紅花、赤芍、川芎

活血化瘀

麝香、老葱

通陽開窮

黄酒

温通血脈

鼻閉が酷く臭覚減退

辛夷、白芷、石菖蒲、絲瓜絡

頭脹痛、耳閉

柴胡、蔓荊子、菊花

②当帰芍薬+地竜、黄芩、菊花、薄荷、辛夷

魚脳石(魚の耳石)>甘鹹、寒、帰経;利尿通淋、清熱解毒(蓄膿にもちいる)
●鼻閉とは


急性鼻炎、アレルギー性鼻炎

粘膜が腫れることで鼻閉になる。透明鼻水が原因ではない。

慢性肥厚性鼻炎

下鼻甲の肥厚と粘性の鼻水

副鼻腔炎

鼻腔内に粘性の高い鼻水が鼻閉の原因

②慢性鼻炎の老中医コメント(資料3)
●干祖望「慢性肥厚性鼻炎の鼻甲は瘀血で充血し郁血肥厚。活血化瘀を主とする。桃仁、紅花、乳香、没薬、当帰尾、丹参で活血し、石菖蒲で開窮する。」
③慢性副鼻腔炎の弁証、老中医のコメント(資料4、5)


张赞臣

芙蓉花は解毒排膿でき鼻淵で膿が多いいものに有効

谭敬书

芳香化湿(藿香12佩蘭8)は開窮して効果が良い。

张锡纯

石膏は鼻渊(淵)に良い。「辛夷、蒼耳子は辛温なので化熱時にはよくない。」

李铎

涼膈散で陽明の熱をとる。

『どの証でも、頭痛、局部痛ある時は露蜂房2-3、制草烏3、白芍、甘草』
涼膈散(連翹125黄芩30山梔子30竹葉3蜂蜜すこし、大黄60芒硝60甘草60)、
④気管支拡張症の治療(資料6)

 
 
 
 
 
 
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