3)腰椎へルニアと脊椎狭窄症の中医的ちがいはどこか
■「病理からみて、腰椎ヘルニアより狭窄症の方が骨棘多い、また跛行(疼痛と痺れ:麻木)も多い」
■治療薬では、狭窄症に黄耆が多い。
●骨棘について
①骨棘の多い狭窄症治療では補腎より活血が多い。
②頸椎骨質増生症(骨棘が多い)の病機は正気不足で、虚に乗じて風寒湿熱の邪が肌肉関節、経絡に侵入して、気血不暢になり、痺阻しておこる。治療は補肝腎、益気活血通絡と袪風湿散寒する(15-1)徐克勤)
③朱良春(補腎+活血+袪風湿)
骨刺429 |
三骨湯>熟地黄、淫羊藿、鹿角膠、穿山甲、威霊仙、骨碎補、透骨草、補骨子、続断、赤芍、白芍、紅花、制川烏、当帰、丹参、地鱉虫、三七。
なかでも地鱉虫(活血)は除けない。(透骨草>辛温、肝腎:袪風除湿、舒筋活血、消腫止痛) |
→骨棘の原因は「(瘀血+腎虚)>風湿」
●跛行(疼痛と痺れ)について
内腔が狭くて血液が停滞→骨棘と瘀血。痺れは風邪も関与
★痺れ、麻木対応として黄耆⑤(白芍②)ある→黄耆桂枝五物湯参照p10
5>頸椎症
1)病態
①整形外科p3
「加齢により椎間板が狭くなり、前方、側方、後方に骨棘ができ、椎間孔がせまくなる事が主要原因。」
②妙法解析、神経科557
「この病は虚に属するものが多い。陰虚なら肝風内動し、血虚なら脳失所養、精虚なら髄海不足、そして眩暈、痿証、痺証になる。」
→これでは病理がわかりにくい。(まとめはこれくらいで後はない)
③老中医のコメントをまとめると
結論7-1
「腎虚が主体で虚に乗じて風寒湿、瘀血が入絡。時には外傷から瘀血主体。」
「病理では骨棘が多い」
2)弁証
頸椎病(妙法解析、風湿497:神経科)
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妙法解析、風湿 |
妙法解析、神経科 |
太陽経兪
不利証 |
头痛头重,颈项强硬,转动不利,肩背四肢疼痛,尤以上肢为主,双手无力,屈伸不灵,出汗或无汗,全身发冷,发紧或肌肤麻木等,舌质正常或稍淡,苔多薄白,或白腻,脉浮缓或浮紧 |
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桂枝加葛根湯 |
風寒
阻絡証 |
上肢串痛及麻木,以痛为主,颈部活动不利,僵硬,怕风惧寒,苔薄白,脉弦紧 |
桂枝加葛根湯 |
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気滞
血瘀証 |
颈肩部,上肢疼痛,痛处固定,伴有肢体麻木,舌质淡,脉弦 |
活血止痛湯 |
身痛逐瘀湯 |
痰湿
互阻証 |
颈肩臂痛,肢体麻木,头晕头痛,四肢倦怠,乏力,呕恶痰涎,纳差,舌苔厚腻,脉弦滑 |
温胆湯 |
半夏白朮天麻湯 |
寒湿
阻络征 |
眩晕,头重如囊,头,颈,肩,背和四肢疼痛,痛有定处,喜热恶寒,颈项僵硬,活动受限,后颈部可触及条状物或有压痛,上肢沉重无力,麻木,甚者肌肉萎缩,手指屈伸不利,指端麻木,不知痛痒,其他尚有胸闷纳呆等症状,舌胖有齿痕,舌质正常,或发暗,苔薄白或白厚,脉沉迟或眩紧,弦细 |
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小活絡丹 |
気虚
寒凝証 |
上肢麻木疼痛,以麻木为主,怕冷,四肢欠温,疲乏无力,舌体胖大苔白,脉弦细无力。 |
黄耆桂枝五物湯 |
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肝陽
上亢証 |
肢体麻木,眩晕耳鸣,失眠多梦,舌红少津,脉弦细 |
天麻鉤藤飲 |
天麻鉤藤飲 |
気血
虧虚証 |
肢体麻木,头晕目眩,心悸气短,四肢无力,,几乎蠕动,舌质淡,脉细无力 |
帰脾湯 |
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肝腎
虚損証 |
头晕眼花,耳鸣耳聋,头脑胀痛发空,面部烘热,口苦咽干,牙痛,失眠多梦,急躁易怒,腰膝酸软,抬举无力,筋脉拘紧,步履蹒跚,甚至瘫痪,此外尚有小便淋漓,次数增多或两便失控,大便无力,干结及性功能障碍等症状,舌体瘦或舌质红绛,少苔或无苔,脉弦细或细数 |
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左帰丸 |
結論7-2
①脊柱管狭窄、腰椎間板突出とちがって肝陽上亢、気虚寒凝、風寒阻絡がある。
症状では疼痛と麻木が多い。
②その治療薬;天麻鉤藤飲、黄耆桂枝五物湯は症状が麻木が主。桂枝加葛根湯では痛が主。
3)老中医の症例から
妙法解析(神経科557)からX線、CTで確認されているものは
16例)あった。妙法解析(骨傷病)13> 計29例→資料5
弁証>
風寒湿+瘀血9。 肝腎不足+風寒±瘀血8
気虚血瘀+寒凝6、肝陽上亢2、気滞血瘀2
脾腎陽虚+瘀血1、湿熱+気滞血瘀1
結論7-3
風寒湿+瘀血の関与が多い
①29例中をまとめると
活血、補腎、袪風湿 |
活血26>袪風湿22>補肝腎21>平肝熄風16 |
活血では |
当帰⑱川芎⑭鶏血藤⑧丹参⑧紅花⑦姜黄⑤牛膝⑤赤芍④乳香④ |
補肝腎では |
桑寄生⑦生地黄⑤牛膝⑤杜仲⑤熟地黄⑤狗脊③枸杞子③ |
袪風湿では |
羌活⑨威霊仙⑦桑枝⑦蜈蚣⑥独活⑥秦艽⑥地竜⑥木瓜③全蠍③ |
通絡では |
桑枝⑦蜈蚣⑥地竜⑥全蠍③白芥子③白花蛇② |
平肝熄風16 |
天麻⑧蜈蚣⑧地竜⑦鉤藤⑤羚羊角②石決明②竜骨②全蠍② |
葛根、黄耆、桂枝、芍薬の内、3種以上使用 |
13/29
黄耆白芍2
葛根桂枝白芍4
葛根桂枝白芍黄耆4
葛根白芍黄耆3 |
その他 |
桑枝が多い。羌活も多い。弁証で肝陽上亢がある。 |
結論8
①29例中、活血剤使用は26例ある。瘀血の所見あるのは7例のみ。瘀血所見なし19例(コメントなしで活血剤使用は10例)コメントあり「化瘀剤入れるのは弁病」、「久痛入絡または血行風自滅」
②葛根黄耆桂枝芍薬の内、3種以上使用が多い。13/29
黄耆桂枝五物湯と桂枝加葛根湯の使用が多い。つまり腎虚が主ではないようだ。
桂枝加葛根湯 |
太陽風寒で後背こわばる、汗出て悪風 |
風寒が侵入して痛みをおこす。 |
黄耆桂枝五物湯 |
血痺とは「主症状は体痺れ、遊走性のしびれ、痛み。脈は微にして渋緊。気血内虚し、疲労し汗が出て、風に当たって、邪気が虚に乗じて侵入し、血気を塞いで通じさせないために生じる。」辞書277 |
気血の虚に乗じて風(湿)邪がはいり麻木をおこす。邪がはいるのは経絡。 |
③腰椎疾患と違う点は、上部にあるので袪風湿の要素が多く、経脈不通が主とするので黄耆桂枝五物湯と桂枝加葛根とが多い。
5>頸椎ヘルニア
1)病態
①整形外科疾患p4
20-50歳の若い人に多い、肩こりがあり、急に激痛で発症することが多い。肩、腕、手指に放散する痛みを伴う。頸が痛くて動かせなくなる外傷を契機に発症することもある。まれに両下肢の麻痺伴う。
病機>腰椎ヘルニアと同じく、繊維輪が断裂して髄核が脱出する。後側方に脱出することが多い。XPで椎間板の狭小化は見られないのが普通。
②弁証
妙法解析(風湿、骨傷、神経)にはない。実用中医骨傷学にもない。
実用中医骨傷学「活血化瘀、通経活絡、鎮涼熄風、養肝柔筋を原則とする」
③症例の弁証名
1)脾虚痰湿、2)陽明腑実、濁飲 3)肝腎虧虚、気滞血瘀
4)腎虚瘀血風湿2例
④頸椎ヘルニア所見5例中
補腎 |
鹿角膠②山茱萸①枸杞子①何首烏①桑椹子①馬銭子①
熟地黄①杜仲①狗脊① |
活血 |
赤芍②当帰①川芎①白芍①大黄①穿山甲①桃仁①
丹参①乳香①没薬①血竭① |
袪風湿 |
天南星①防已①桑寄生①羌活①独活① 透骨草①
威霊仙①白花蛇2条、防風① |
通絡 |
全蠍③地鱉虫①蜈蚣①白花蛇① |
平肝熄風 |
全蠍③天麻②石決明①蜈蚣①地鱉虫① |
補気 |
山薬①大棗①黄耆①党参①大棗①紅参 ① |
補血 |
当帰③白芍③ |
結論9 頸椎へルニア
①病機では
活血5>平肝熄風4>補腎3、袪風湿3で他の疾患にくらべて平肝熄風が多い。
6>まとめ
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腰椎椎間板突出
14例;15歳~65歳 |
脊柱管狭窄
9文献50歳以上 |
頸椎症
29例、40代後半~ |
頸椎ヘルニア
5例。20~60歳 |
腰腿痛。麻木少 |
腰腿痛麻木 |
頸脹痛、手指しびれ |
頸椎激痛、麻木少 |
弁証 |
寒湿阻滞、
湿熱痺阻証
血瘀阻絡症、
肝腎虧虚証 |
寒湿阻滞、
湿熱痺阻証
血瘀阻絡症、
肝腎虧虚証 |
太陽経兪不利証
風寒阻絡証、気滞血瘀証
痰湿互阻証、気虚寒凝証
肝陽上亢証、気血虧虚証
肝腎虚損証 |
<推定>
脾虚痰湿1
陽明腑実、濁飲1
肝腎虧虚+気滞血瘀1腎虚瘀血風湿2 |
実際の
弁証 |
肝腎不足±瘀血6、
風湿または風寒4、
瘀血3、
陰虚熱痺1 |
瘀血3、
寒湿2、
腎虚2、
風湿瘀血1、
腎虚風湿瘀血1 |
風寒湿+瘀血9
肝腎不足+風寒±瘀血8
気虚血瘀+寒凝6、
肝陽上亢2、気滞血瘀2
脾腎陽虚+瘀血1
湿熱+気滞血瘀1 |
腎虚瘀血風湿2
脾虚痰湿(風痰)1
陽明腑実、濁飲1
肝腎虧虚、気滞血瘀1 |
傾向 |
活血14>補腎13>袪風湿10 |
活血9>補腎7>袪風湿6 |
活血26>袪風湿22>補肝腎21>平肝熄風16 |
活血5>平肝熄風4>補腎3=袪風湿3 |
活血補腎が多い>袪風湿 |
活血、平肝熄風が多い。+袪風湿、補腎 |
活血 |
活絡降霊丹が多い、(当帰、丹参、乳香、没薬) |
補肝腎 |
牛膝、生地黄、杜仲、狗脊が多い |
通絡 |
脊椎では地竜が多。頸椎症は桑枝が多。全蠍は全て。狭窄と頸椎ヘルニアは桑枝がない。 |
平肝熄風 |
8/14
地竜⑤全蠍③ |
6/9
地竜⑤ 全蠍① |
16/29
天麻⑧蜈蚣⑧地竜⑦全蠍③ |
4/5
全蠍③天麻②地竜0 |
袪風湿 |
威霊仙⑥秦艽⑤
桑枝② |
独活②秦艽②木瓜②:桑枝なし |
羌活⑨威霊仙⑦桑枝⑦ |
天南星①防已①
:桑枝なし |
葛根黄耆桂枝芍薬の内3種以上使用 |
3種以上なし。
黄耆①少ない、桑枝②白芍⑤
桂枝① |
3種以上なし。
黄耆⑤白芍②
黄耆桂枝五物湯の使用はない
黄耆⑤地竜⑤が多い |
13/29>
黄耆白芍2。
葛根桂枝白芍4。
葛根桂枝白芍黄耆4
葛根白芍黄耆3
●黄耆桂枝五物湯+羌活、桑枝⑦が多い |
1/5黄耆、桂枝、芍薬。
黄耆②白芍③
桂枝① |
まとめ |
腎虚瘀血+
風湿が経絡侵入(急性発症、再発時、麻木残るとき) |
脊椎は腎虚瘀血+経絡に風湿侵入して麻木。
上焦ではないので桂枝ない。麻木多いので黄耆⑤地竜⑤。 |
腎虚瘀血で骨棘が多い。
+「痺れがおおい」のは虚から風湿邪が上焦の経絡に侵入。それで黄耆桂枝五物湯が多い。内風が生じるので平肝熄風多い。●時には外傷から瘀血主体。 |
腎虚瘀血+
麻木残るとき風湿が経絡侵入+内風が生じるので平肝熄風多い。 |
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