症例38 アトピー性紅皮症 78歳女
 
主訴>顔のあれ、かゆみ
現病歴>
70歳で帯状疱疹が眼瞼にでた。1週間入院して点滴した(内容不明)。帯状疱疹はなおったがその後から顔が赤くなる。皮膚科でステロイド剤がでて2年間毎日塗る。改善しないので他の皮膚科にいく(72歳)。エバスチン、アタラックス、桂枝茯苓丸加薏苡仁内服して、時々ステロイド塗るのを続ける。76歳からはステロイドやめた。内服つづけて78歳になった。その時の症状は「顔が赤い、干燥、ぽっぽろ皮膚がむける、汁は出ない。痒みがひどい、痛みはない。痒みは午後からひどくなり寝る前に酷い。」変化がないので、H24、1/23、松山の漢方薬局で相談して温清飲をもらった。のんでから顔のあれがひどくなった。薬局では「悪いものが出てきているのだから続けましょう」といわれてつづけたが、一向に改善しないので当院来院した。
生活歴>夕食6.30、朝は食パン、ジャムまたは蜂蜜、昼、夕は米。薄味多い。からし多い。甘食あまり食べない。煮魚、温野菜、肉が多い。酒たばこは無し
水分は習慣で1500cc/日。便は2/日、朝食後に2回行く。尿は7~8/日。夜中は4回行く。睡眠は9~7。寝つきは40~60分痒いから。断眠4/日、痒みて目覚める10分くらいで眠れる。運動は5/w、体躁教室にいく
現症>
肩こり(朝アップ、日中まし、夕方アップ)、手のしびれ(少し)、冷え(足首より下とお腹、腰、夏でもカイロ3個は毎日使う)口渇多飲、目痛い、光がまぶしい(少し)、胃もたれ胸やけが2/週、食べ過ぎて起こる。食欲旺盛、ガスよく出る。皮膚がかぶれやすい(カニ、エビだめ)腰が重だるい。月経>43歳で子宮筋腫全摘。
舌やや紅、裂、黄白稍厚     右脈沈細弦有力、左脈弦有力

痒みで寝つき悪い(40~60分)
断眠4/日、痒みて目覚める。
からし多い。ステロイド軟膏長期連用。
口渇多飲、目痛い、光がまぶしい(少し)、
舌やや紅、裂、

陰血不足、陰虚火旺

水分は習慣で1500cc/日。食欲旺盛、肩こり(朝アップ)舌苔、黄白稍厚 右脈弦有力、左脈弦有力

便は2/日、朝食後に2回行く。胃もたれ胸やけが2/週、食べ過ぎて起こる。ガスよく出る。右脈沈細

胃熱、痰濁

 

脾気不足、脾気損傷(脾気虚の前段階)

皮膚がかぶれやすい(カニ、エビだめ)。

生鮮にて脾胃を損傷、または毒邪犯胃

腰が重だるい。手のしびれ(少し)、
月経>43歳で子宮筋腫全摘、
肩こり(日中まし、夕方アップ)
冷え(足首より下とお腹、腰、夏でもカイロ3個は毎日使う)

腎精不足、腎精消耗

 

腎陽虚

皮膚所見は衛分、気分、営血分にわけて解釈


顔の紅斑、やや暗紅、さわると熱あり

紅斑は血熱、暗紅は熱熾盛、または陰虚、瘀血などの要因がくわわる。

紅斑が一部盛り上がっている

湿熱あり

当初の処方2/24
石膏20知母10生地黄10玄参8赤芍5牡丹皮5白鮮皮5白僵蚕5夜交藤5薏苡仁15滑石10防風5蝉退5
現在の処方5/28
生地黄20玄参15牡丹皮5青蒿5沙参10麦門冬10天門冬5防風5知母8丹参5亀板7枸杞子10滑石10薏苡仁8

問題点1)なぜ温清飲で悪化したか
それまでの皮膚は紅斑があって、痒みがあり、粉を吹いている状態で、黄汁はなかった。それが温清飲内服で、紅斑がひどくなり、一部はジュクジュクになり、夜痒くて眠れなくなった。

 

 

①黄連解毒湯はすべて苦寒の方剤で清熱利湿する。苦寒は陰液を消耗する(また脾胃を損傷する)黄連、黄柏、山梔子は主に血分に働き、その部分を清熱利湿する。陰虚が主体の場合は、さらに陰液を消耗して虚熱は盛んになる。
四物湯もあるが、当帰、川芎は温性なので不適。芍薬は良いが、それだけでは弱い。地黄は干地黄?、熟地黄?
②気分はもともと水分の多い所なので、血分の熱がつよくなれば、それにあおられて湿熱を形成する。それでジュクジュクになった。

 

2)この処方でなぜ改善したか
③治療としては陰液不足を補いつつ、清熱涼血。また気分の湿熱をとるが甘寒利湿がよい。

 

1)全身所見と皮膚所見が重要であるが、皮膚所見をいかに中医学的に解釈して全身所見と組み合わせて考えるのが大事

2)皮膚所見は衛分、気分、営血分にわけて解釈し、それに応じた中薬を選択することが大事。

     
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