症例36 腰椎ヘルニア  女性35歳
 

主訴>腰椎ヘルニア;左下半身の痛み、痺れ、冷え。
H19年12月より、下半身のしびれ、痛み、冷えがあり、近医より改善しないので、愛大紹介されてh20年1月受診する。MRIで突出が大きいので直ぐに手術が必要といわれて腰椎ヘルニアの手術うける。手術後かなり改善したが、しびれ、痛み、冷えは残っていた。冬場になってしびれ、痛み、冷えがアップしてきた。近医でカロナール細粒服用しているが変化なく、愛大に行くと手がないといわれたと言う。h20年11月から尾底骨も痛くなってきた。1月9日当院受診。
左右大腿の後面と内則の冷え、痺れ、痛みがありL>R、左のかかとも痛む。今は痛みが一番つらい、1日中痛いが夕方から夜にひどい、夜中もいたんで毎日2~3回目覚める、朝のアップはない。痛みは雨天(-)、風呂で↓、冷えると↑、夏は↓。しびれは、トイレでたつときにしびれる、いすで60分も座るとしびれる。

 

1月9日   弁証>   風寒湿痺、陰血不足(肝腎不足)→ 陰陽両虚

処方>1/9方
黄耆10、桑枝10、鶏血藤3、生地黄5、玄参5、当帰5、芍薬5、川芎5、
黄連2、炮附子3、+全蠍シャ虫マツ1g
1月16日:寝付きは15分と減った、痺れ少しまし。痛み少しまし。冷えは~、過食↓、
断眠は1~2/日と↓なので
1/9方去;黄連、 加;麻黄2、炮附子5↑
2月27日 ;足の痺れ痛み↓、冷え↓、尾てい骨の痛み-、
痺れ痛みは毎日あるが回数、程度が増しになった。60分座ってもしびれ-のことあり。
3月18日 花粉症併発、鼻水、クシャミ、目痒、咳、痰透明
3/10~3/12、3/16~18と仕事多忙、外でのたち仕事、自営の手伝い、熱かった。
足の痺れ、痛みアップした。尾てい骨は-。
1/9方去;桂枝、炮附子、  加;杜仲5、牛膝5
荊芥連翹湯3方
4月17日 鼻水-、クシャミ-、咳時々、咽喉乾燥、痰白、
外での仕事多い、5kg×10回、寝汗2/2w、昼間はズボン舌2枚、くつした3枚はい
ている、冷えると怖いので
1/9方去;黄連、加:杜仲
5月22日;
最近しびれ痛みは長いこと座ると起こる、10分以内で5~6回/日
去年の手術後楽だった頃よりも楽という。
5/15、16さむくて痛み↑;寝汗ときどき、手足心熱、ストッキング2枚、腹巻している。やはり麻黄いるか
1/9方去黄連、全蠍、シャ虫   加;麻黄2、木爪5、烏梢蛇マツ2
6月5日              しびれ痛みあるが2週前より調子よい。程度、頻度がかるい。

参考;
痺証の基本的弁証論治
1)風痺(行痺);遊走不定痛;風池、膈兪、血海、太衝
防風湯(防風、当帰、茯苓、杏仁、黄芩、葛根、麻黄、桂皮、生姜、甘草、大棗)           
2)湿痺(着痺);重着酸痛;陰陵泉、足三里
薏苡仁湯(当帰、芍薬、薏苡仁、麻黄、桂枝、甘草、独活、羌活、生姜、防風、烏頭、川芎)
3)寒痺(痛痺);固定激痛;腎兪、関元
烏頭湯(烏頭、麻黄、黄耆、芍薬、甘草)
4)熱痺証;灼熱紅腫痛;大椎、曲池、合谷
白虎桂枝湯(石膏、知母、甘草、、粳米、桂枝)
5)肝腎不足;関節変形痛;疎経活血湯

薫建華

 朱良春    >虫類

木田先生

1)風寒湿痺には
麻黄、烏頭

寒には烏頭、桂枝

寒湿>烏梢蛇、蚕砂
+烏頭、薏苡仁

寒痺には桂枝5、細辛3
炮附子2~4、又は修治附子マツ1~3(止痛作用強い)

2)湿熱痺証(清熱涼血)には、水牛角、赤芍

熱には寒水石、石膏
化熱>地竜+寒水石

熱には
黄柏5、秦艽7、虎杖7

3)寒熱錯雑(外寒裏熱)には石膏、烏頭

湿には薏苡仁、生と熟薏苡仁

湿痺には
粉防已10、薏苡仁15、蒼朮7、蚕砂5、萆薢10、白僵蚕5

4)湿熱邪には萆薢。蚕砂

5)舒筋脈には桑枝、木爪

挟痰>白僵蚕+天南星、白芥子
関節痛甚>全蠍、ゴショウ
+延胡索、
背部痛>九香虫+葛根、秦艽
関節変形>蜂房、白僵蚕、
腰背>露蜂房、烏梢蛇、シャ虫
センザンコウ、鹿角、
紅斑、皮下結節>水牛角、赤芍+牡丹

風痺には
白僵蚕5、防風5

6)頑痺には麝香、黄酒

瘀血には
五霊脂7、延胡索5、莪朮5、三稜5

7)補肝腎には猪脊髄、熟地黄

瘀血、熱、腫混在には
虎杖7~10

8)補督脈には鹿角、杜仲

頑痺には
五霊脂7、地竜7、莪朮5、三稜5、水蛭3、烏梢蛇マツ3、白僵蚕7、露蜂房3、白芥子5

9)心気補うために
黄耆、五加皮

痺証を1)風寒湿
2)風熱湿、3)寒熱錯雑に分類している。
そして湿熱があれば4)瘀血痰濁なら6)筋脈がつっぱれば5)、骨なら7)督脈なら8)脈痺なら9)

  • 湿熱とるには軽宣(萆薢、蚕砂)がよい
  • 熱痺にも初期から桂枝、烏頭の温熱薬をつかうのがよい。清熱薬は甘寒(寒水石、石膏)がよく苦寒(竜胆草、黄芩、黄柏)は慎重に。
  • 痺証全般に、虫類が大事で部位別、症状別に使い分ける。
  • 頑痺には早期から益腎壮督(熟地黄、当帰、仙霊脾、巴戟天、鹿角膠、補骨脂)を使う
  • 軟骨変性には骨さい補、威霊仙
  • 関節液には沢らん、沢瀉の対薬

内生の熱邪、湿邪が正気の虚をきっかけに生じて経絡の筋膜、骨を侵して初期はさまざまな関節に出没しながら広がる。ほとんどは湿熱痺で始まる(RAの場合)
肝(筋)、腎(骨)、脾(肉)血脈(主に筋、肉、骨内にある)の衛気や血の阻滞を通絡により通すことがポイント。

  • 石膏よりは牡丹皮、黄柏、忍冬藤

麻黄よりは黄耆

 
 
 
 
 
 
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