症例15  不安神経症  29歳 女性
 

主訴;朝一人になることが不安、産後1ヶ月育児に自信がない、不眠
  主人が出勤すると思うと不安になり涙が出てくる、いかないで~と毎日大号泣する。診療内科でうつといわれてレキソタンでたがのんでいない。夜お乳上げるとき、主人が寝ていて少しイライラする。初診後の3月中旬よりは実家に夫婦ともに生活する。

現症>出かけると不安で毎朝20分ないている。母は長期の休みを取る予定。
29歳女性、H20年1月上旬、男児出産。2月のはじめより朝ひとりでいることが不安になってきた。主人が出かけると思うと涙が
出てきて「行かないで~」と毎朝20分くらい号泣する。育児にも自信がなくなってきた。夜授乳で2回起きるが主人が寝ているの
を見てイライラする。夜は11時に寝るが、朝3時頃から不安で1時間おきに目覚めてウトウトしかできない。 足冷え、口渇多飲、た
め息、憂鬱でおちこむ。時々胸が重くしめつけられる。
ただし一人で外出はできるという。心療内科に行くとうつ病といわれて、レキソタンが出たが飲んでない。
ベック式うつ病問診表;28点(中等度うつ病)
生活歴> 
夕食8時、米2、朝菓子パン、間食、どら焼きプリン1/2日、水分1.5L
便、軟形あり、臭-、尿5~6、夜間2回
睡眠;11時から6時、寝つきはよいが、12,4時に2回授乳する、3時から6時は1時間おきに目覚めている。運動0
現症>
0)足冷え、口渇多飲、1)夜にイライラ少し、ため息、不安、憂鬱
2)胸が少し重くしめつけられる。(午前中に多い)、動悸は-、5)口乾燥
月経> 不規則、量普通、血塊少し、痛少し
生活歴>
夕食8時、米2回、甘食(どら焼き、プリン)喉が乾くのでよく飲む、水分1500cc。便;軟、形あり、臭-、尿5~6、薄い、夜間尿2/日(おきたついでに行くという)。睡眠11~6、寝つきはよい、12時4時に授乳でおきる。4時以後6時まで1時間おきに目
現症>足冷え、口渇多飲 (肝)、時々イライラ、ため息、不安、憂鬱、(心)
時々胸が重くしめつけられる、脾)食欲は良好。腎)口干、口乾燥。腰痛はない。 舌>淡白、やや胖、少し列紋、薄白苔  脈>関滑、関滑
腹診>臍上動悸、大腹に横線1本、腹直筋緊張
時系列>3歳ごろ、母と姑との不仲があった。心療内科ではこれが原因だろうといわれた。 15歳から高校に行く。睡眠は8時間で寮のため規則正しい生活だったが甘食は毎日していた21歳から会社員で1日中パソコン使っていた(28歳に妊娠するまで)。25歳で結婚すの後睡眠は12時過ぎから6時まで。仕事で部下に対してストレス多くイライラしていた。不妊症で1年半加療する。途中1回流産する。妊娠してから後半は睡眠不足でうとうとしか眠れなかった。

弁証>
肝気虚>肝郁、心陰不足で神志不寧。
処方;平補沈鎮心丹加減

黄耆10人参5酸棗仁10茯神10生地黄5麦門冬7柏子仁7柴胡3芍薬7竜骨15牡蛎15

解説>
1)口渇多飲があったので陰虚陽亢としたようだが、口渇多飲は甘食のためだろう。甘食=湿熱で、湿は脾に停滞し、熱は胃に内熱おこして口渇おこす。冷水おおく取ってない熱は消えるが湿はますます多くなる。サトウが痰湿形成するのはこのためだろう。甘いものとると喉がかわくのはこのためだろう。

9月24日、~10月8日のカルテより
「不安-、郁-、一人で留守番ができるようになった。昼は父が食事に帰ってくるので二人になれる。それ以外は一人だが不安はなくなった。頭痛、イライラが9/5頃より増えている。イライラは夕方に疲れるとでる。いま頭痛はへったがイライラ横ばい。初診時のイライラは5月には-だった。また夕方胸重くなる。
(横になると締め付けられる感じ。宗気不足か。初診時は午前中のみで5月には消失していたのだが)
2)うつの人が不安、憂鬱がとれてくるイライラがでてくることある。しかしそれが、夕方に疲れて↑になる。なぜか
ひとつには肝気虚すれば恐、実すれば怒。つまり不安、鬱は肝気虚。黄耆で肝気をおぎなって十分になってくると実してイライラしてくるのだろう。
それでは、夕方に疲れて↑になるのなぜか。「夕方に↑は肺気不足で木を克せなくなり木が盛んになる。金不克木」のため

「肺と肝の関係:肺は魄を有し憂、悲を志とする。肝は魂であり情志活動に関与する。肝は上に条達し、肺は下へ粛降して調和している。肝の条達がへると肺気も停滞する。また黄耆は本来、肺気を補う効用あり」

 
 
 
 
 
 
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