症例14   不眠症 40歳女性 
 

主訴>不眠症 虚労、不安
既往歴>37歳、自律神経失調症、 帝王切開2回
家族歴>特になし

現病歴>X年2月より眩暈、不安感、冷え、頭痛のため初診。
帰脾湯又は逍遥散、とデパス1錠で眩暈、冷え、頭痛はほぼ改善していたが、不安がまだ残っていたが、5月連休頃より不眠になる、10時に床に入り、1時にねつけ6時よりうとうとしている。6/11には寝付かなくてしんどさがアップ、肩こり、イライラ、心煩する、寝汗-、口干-、不安感は夕方に多い、食欲少し、便軟、本日より頭痛も出てきた。フワフワする。舌;やや紅、黄燥苔、  脈;細弦有力、  
腹診;中脘周囲が拒按、左右の臍傍圧痛
現代医学的所見>                                            
BP118/70(63)WBC58/00、RBC418万、Hb12.0、Ht40%、
漢方医学的所見>
6/11には寝付けなくてしんどさがアップ、肩こり、イライラ、心煩する、寝汗-、口干-、不安感は夕方に多い、食欲少し、便軟、本日6/11より頭痛も出てきた。自分自身がフワフワする。
6/5より月経はじまり下痢になっている。目痛、目赤い、手心熱、足冷-。
舌;やや紅、黄燥苔、  脈;細弦有力、  
腹診;中脘周囲が拒按、左右の臍傍圧痛
経過>
黄連阿膠湯加減を処方する。黄連2、黄芩2阿膠3芍薬3、当帰3、川芎3、白朮3.女貞子3、酸棗仁6、竜骨5、牡蛎5、炙甘草2。投薬後2日に一回眠れるようになり6/22よりは毎日眠れるようになった。食欲アップした。イライラ減少、心煩減少、7/9にはデパスもなくて睡眠はおおむね良好になる。ただ不安が些細なことでよく起こるという。その後、平補鎮心丹加減変更し、不安も減少している。
考察>
黄連阿膠湯は原典が傷寒論で「少陰病、得之二三日以上、心中煩、不得卧,黄連阿膠湯主之」とある。水火不済の陰虚陽亢の心煩、不眠にもちいる方剤である。
本症例は心腎不交、気血両虚、肝郁で不眠は心腎不交が主と考えた。
鑑別処方は抑肝散陳皮半夏、酸棗仁湯、加味帰脾湯。抑肝散陳皮半夏は気血両虚の肝陽化不風が対象で、酸棗仁湯は心血虚、心肝火旺の不眠、加味帰脾湯は心脾両虚で肝火旺である。心腎不交の不眠には適応していない。
 
 
 
 
 
 
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