症例11   うつ病  女性35歳、 
 

主訴;うつ病*疲れ、低血圧で体がだるい、夜眠れない、
不安になる(何もせずボーとしているとき、夕食時)、いらいら
既往歴>1歳で先天性股関節脱臼、 30歳で帝王切開、
家族歴>特になし
現病歴>X年5月より毎日体がだるい。朝がだるい、夜眠れない、不安、イライラする。主人が上海に長期出張に行ってしまってからおこる。
現代医学的所見>ベック式うつ病問診表で16点。(11点~20点が軽いうつ)
漢方医学的所見>
甘食多い(ケーキ、チョコレート、おもち、おまんじゅう、毎日何か食べている)
水分は水お茶で1L以下。
便1/日、硬~軟が多い、よく下痢する、尿4~5/日。
睡眠、10pm~7am寝つき悪い、子供と一緒に寝るが、子供が動いて夜3~4回目覚める、眠り浅い。運動0分、
肩こり、体がだるい、体が重い、足冷える、汗少ない、冷え性、疲れやすい。
1)光がまぶしい、イライラする、よく頭痛する、不安感、やる気がない、憂鬱になる。
時々、物事を決められない、驚きやすい。2)もの忘れ少し、立ちくらみ少し、
3)口内炎できる、胃もたれ少し、胸焼け少し、吐き気する、食欲ない、体重1kg減った、
4)よくかぜ引く、鼻水出る、痰からむ、喉がイガイガ、5)腰だるい少し、口乾燥、顔ほてる。
月経;量普通、鮮紅色、血塊小豆大少し、痛軽い、月経前イライラする、便秘する。
舌;やや紅、裂少、薄白苔、 裏;血絡、 脈;細弦、 沈緩軟
腹診;臍上動悸、中脘に浸水音、左少腹下方に硬結、小腹は軟。
弁証:肝気犯脾、食滞傷脾、陰血不足

 

肝気犯脾(肝うつ肝気虚)

いらいら、頭痛、不安、憂鬱、だるい、食欲がない

甘食→食積傷脾(気虚血虚)

便秘~下痢;先硬後軟、食後ねむい

陰虚傾向

喉イガイガ、面熱すこし、不眠

陽虚体質

冷え、体ひえ

経過>
1)デパス1錠(眠前)と、逍遥散。その後、逍遥散加酸棗仁6黄耆3黄連1
約1ヶ月服用したら、不眠、朝だるさ、イライラはへった。しかし不安感が変化なし。
そこで、平補鎮心丹加減した自家処方とする;デパスは終了となる
7/27方>竜骨6牡蛎6(先煎)、黄耆3、人参3、白朮3、茯苓3、
柴胡2、香附子2、芍薬2、酸棗仁6、炙甘草2
これで不安の減少がすこしみられた。
そこで、竜骨、牡蛎、黄耆を増量して以下の処方とする
8/31処方>竜骨10牡蛎10(先煎)、黄耆10、人参3、白朮3、茯苓3、柴胡2、
香附子2、川楝子2、
芍薬2、枳実2、酸棗仁6、炙甘草3 
その後不安も徐々に取れ、不眠もおこらず順調に経過して、X+2年4月に終了となる。

まとめ>
1)逍遥散+デパスで不眠は↓、朝のだるさ↓
2)酸棗仁6、黄耆3黄連1加味でイライラ↓朝のだるさ↓
3)デパスやめて7/27方竜骨牡蛎、で不安へる、不眠↓、朝おきれるようになる
4)8/31方で黄耆10にして不安↓↓
5)夜間尿毎日1回を1/Wにしたのは桑螵蛸2、補骨脂3では効果薄くて、+桂枝2生姜2であった。

考察>
鑑別は加味逍遥散、抑肝散、柴胡桂枝加竜骨牡蛎湯、四逆散
平補鎮心丹の原典は太平恵民和剤局方である。
「治丈夫,妇人心气不足,志意不定,神情恍惚,夜多异梦,忡悸烦郁,及肾气伤败,
血少气多,四肢倦怠,足胫酸疼,睡卧不稳,梦寐遗精,时有白浊,渐至羸瘦。」
この方剤は心腎両虚、気逆の証候のようだ。
原方;酸棗仁、車前子、人参、白茯苓、茯神、五味子、麦門冬、天門冬、竜歯、
熟地黄、山薬、、朱砂、遠志、肉桂、甘草
 
 
 
 
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