要旨
妊娠後期に高度蛋白尿54.8g/日、下肢浮腫著明で「陰水」を呈したネフローゼ症候群を、「補中益気湯加大量黄耆加減」で約6週間で寛緩導入できた。その後再発したときは、蛋白尿13.5g/日、顔面浮腫著明、腹水合併の「陰水」を呈したネフローゼ症候群を、「防己黄耆湯・五皮散・五苓散加減」を用い、続いて「補中益気湯加大量黄耆加減」を使い6週間で寛緩導入できた。いずれも黄耆を大量に使っていることが特徴で、方剤の選択は症候を詳しく分析した弁証論治によるものである。脾虚湿盛で清陽下陥によるネフローゼ症候群の場合、「補中益気湯加大量黄耆」が有効と考えられる。 |
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緒言
ネフローゼ症候弾に対しては,ステロイド療法が主として用いられるが副作用も多い。漢方薬治療では柴苓湯の報告が多くみられるが,単独投与だけでの治癒例は少ない。これは,ネフローゼ症候群に対して「病名治療」していることが多いためで,本来の漢方治療では,「随証治療」または「弁証論治」をせねばならない。
今回筆者は,弁証論治によって立法処方し,黄耆大量療法を特徴とする漢方方剤のみで,妊娠中に初発したネフローゼ症候群,その後再発したネフローゼ症候群を寛緩導入することができた症例を経験したので報告する。 |
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症例
患者:25歳,女性,経妊1回,経産1回。
主訴:浮腫・蛋白尿
既往歴:特発性血小板減少症(5歳の時),帝王切開分娩術(23歳の時,児頭骨盤不均衡)
経過:中学3年生で144cmになってから,身長
はほとんど伸びなかった。高校生の頃より,便秘が3~7日続いたら,自然排便が1日あり,その後また便秘になるというのが,今回入院するまで続いていた。排便の日は1日3~4回トイレに行き,1回目は便が固く,出すのに力を要し,その後は腹痛があってトイレに行っては軟便がスムーズに出ていた。
第1子の出産は児頭骨盤不均衡のため,帝王切開になり,3,025gの女児を出産した。育児申,児を背負うと腰の痛みがあった。
第2子を妊娠してからは,少し疲れやすくなった.第1子の時はそうでもなかったのに,今回は2階まで階段を上ると,一度座って一息ついてから動きだすようになっていた。その時,息切れ・咳嗽・動悸はなかった。便秘の間隔は同じであったが,変わったことは,
1回目の排便時に力がさらに要るようになったことで,5~6分間,力んだ後やっと出て,1月の寒い頃でもトイレから出ると汗が出ていた:腰の痛みは妊娠前と変わりなく,掃除機をかけたり,腰を曲げて動くときには.「腰におもりがぶら下がったみたい」に感じていた。また,第2子を妊娠してから,よく感冒
にかかるようになった。1月から3月の間に3回風寒感冒にかがり,その都度エキス剤のみで回復していた。
また,3月に入ってから,夜は1-2時間おきに目が覚めるようになった。「夫の鼾が気になって眠れなくなった。夫の鼾は,昔か
らずっと同じなのに……」とのことで,昼間に仮眠するようになった。その不眠は入院す
るまで続いた。
その他は,とくに訴えがなかったが,妊婦
検診で.4月17日に尿蛋白(+),浮腫(-),5月1日は尿蛋白(+++),浮腫(-).血圧
118/70mmHg,5月8日(妊娠32週)に再検査すると,尿蛋白(++++)以上で,手背に浮腫がみられるようになったが,血圧は
90/40で正常であった。5月12日,精査安静のため入院となった。 |
入院時験査所見(1999年5月13日)
一般験査:、身長144cm,体重52.6kg,(非妊時40kg),血圧l124/82,体温36.2℃
主症:浮腫・蛋白尿
現症:顔色淡白,入院の2~3日前より顔面(とくに眼瞼)の浮腫が出現する。手背浮腫も強くなっていたが,昼頃になるとかなり軽減していた。ただし,入院の頃より下腿の浮腫(とくに足首と足背)が強くなって,指で押した後も陥凹したままであった。
下腿の浮腫は座っているとひどくなり、夕方には顕著になっている。食欲は普通、畏寒はない。疲れもとくに訴えないが、2階まで上がると座り込むのは続いている。夜は夫の鼾のため睡眠不足がある。尿量は少ない。
舌診:淡紅、薄白苔、歯痕はあるが胖大ではない。
脈診:沈細、尺脈無力
血液検査:
●WBC8,300/㎣,RBC410×104/㎣,
Hb12.4g/㎗.Ht 38.8%,PLT 23.9X10⁴mm³
●TP4,2g/㎗,Alb 2.0/㎗,Na 141mEq/ℓ
4.3mmEq/ℓ,C1 102mEq/ℓ、GOT 25IU/ℓ
GPT 11IU/ℓ、γ-GP T33IU/ℓ,T-cho 319mg/㎗
●PT10.7秒,APTT 39秒,Fibrinogen 462μg/㎗,
FDP5以下μg/ml 、ATⅢ108%,β2-MG
l.0mg/㎗,ANA(-),CH₅₀ 44.3μl,(30~40),
C₃ 175mg/㎗(74-147)
腎機能検査:
24時間クレアチニンクレアランス 72.0ml/min
尿検査:
尿蛋白(++++以上),塘(-),潜血(-),
円柱・(+),蛋白25.3g/day(1日尿量400ml)
胎児所見:
(妊娠32週),BPD8.1cm、EFBW1,700g、
NST Reactive,胎児膮帯動脈RI 0.60
以上の検査所見と浮腫・高度蛋白尿・低蛋白血症・高脂血症より,ネフローゼ症候群と診断
した。 |
入院後経過
入院後経過を図1に示す。入院1日目には血清蛋白(以下TP)4、2g/㎗,と低下していたので,静注アルブミン25g/日と「補中益気湯加大量黄耆」を投与した。その内容は,黄耆30g,人参5g,甘草3g,白朮3g,当帰3g、陳皮3g,紫胡3g、升麻3g,大橐4g生姜 6gである。 |
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図1 |
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入院1日目抜尿量400mlであったのが、翌日には1,600mlと増量し,副作用はみられなかったので黄耆40gに増量した.尿量ほ1,000
~1,200mlで推移し,10日目には、 顔面,手背の浮腫はなくなり,下肢の浮腫だけが残った。蛋白尿は54.8g/日にまで達した。そこで黄耆を60gに増量した。この頃,下痢が出現したので,ツムラエキス剤の五苓散,および真武湯を投与して下痢は改善した。
l4日目になって,やっと蛋白尿が17.2g/日と減少しはじめた。補腎固渋のため山茱莫を加味したが,21日目蛋白尿は16.3g/日と横這い状態であった。そこで大黄を加味したところ,浮腫はみるみる減少し,3日後完全に消失し,28日日蛋白尿は7.4g/日と減少した。35日目に
は3.8g/日,38日目には1.0g/日にまで改善できた。-方TPは,4.1~4.7g/㎗で推移していたが,28日目には5..4g/㎗と増量した。
この間,胎児については,NST,USG,臍帯動脈血RIこて児の発育を管理した。胎児発育不全はみられたが,NST,RIは正常範囲内であった。
39日目,妊娠38週6日に,帝王切開施行し,2,060gの女児を安全に娩出できた。蛋白尿は42日目には0.3g/日,46月目には(-)となった。44日轡に浮腫が手背と下肢に再びみられたが,ツムラエキス剤の牛車腎気丸にて改善し消失した。術後経過は順調で54日目に退院となった。 |
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写真1 |
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写真2 |
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第2子出産後4週間ツムラエキス牛車腎気丸を使用していたが,疲れ・腰痛・不眠・便秘もなくなっていたので廃薬した。その後,月1回の検尿でも尿蛋白(-】であった。産後6か月目,今回入院する2週間前より,2階に上がるとき少し疲れはじめ,朝から昼ま
で手が握りにくくなっていた。それから2日後に鼻水が出で,タンサジチを服用して軽減した。それから4,5日たつと,下肢の浮腫出て腹部が張る感じが出現し,体全体がだるくなり食欲不振,下痢(2回/日)、買い物に行くのもしんどくなり,夕食も作れず寝つきも悪くなった。そして顔がむくみはじめて,頭重感も出てきた。咳・鼻水・くしゃみもあった。腹鳴して1日7~8回の下痢をするようになって、ようやく受診する。 |
再入院時検査所見 (1999年12月5日)
一般検査:体重48kg、身長144cm、血圧110/76
主症:浮腫
現症:顔色蛋白、顔面とくに眼瞼周囲の浮腫が著明(写真1)。眼をあけにくい,陥凹はあまりみられない。手背、下肢の浮腫は軽度で少しの陥凹がみられてもどりにくい。咳は少し減ってきていて、朝夕に5,6回ずつある。鼻水がすこしあって、咽頭がイガイガする。口渇はあるがあまり飲みたくない。口の中が粘い。咽頭につかえ感がある。頭重感あり、体が重だるく、疲れがひどく話すのもおっくうである。下腹が張り、お腹は減るがあまり食べられない。下痢がひどい(13回/日)。小便は少ない。
手足の冷感(-),悪寒発熱(-)悪風自汗
(-),胸脇苦満(-)。超音波検査にて鼻水を
認めた(写真2)。
舌診:淡白,薄白苔,歯痕
脈診:沈細、尺脈無力
血液検査:
●WBC6,800/mm³,RBC560×10⁴/mm³,Hb16.3g/㎗、Ht51.3%,pl 27.5X10⁴/μl
●TP4,4g/㎗,Alb 1.3/㎗,Na 139mEq/l、K 3.9mEq、/ℓ Cl 101mEq/l、GOT 25IU/l、GPT 19IU/ℓ、T-cho 500mg/㎗ 以上
●β₂-MG1.9mg/㎗、 Cr 75.6ℓ/day、ASLO 5IU/ℓ、抗核抗体20未満、BUN 12mg/㎗、Cr 0.7mg/㎗、
IgA 145mg/㎗、尿蛋白8.3g/日 |
入院後経過
入院後経過を図2に示す。 |
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図2 |
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入院l日目の尿量は150mlと極少だったので、翌日ラシックス1A静注して、2時間後反応尿200mlあるのを確認した。以後ラシックスの投与はない。処方(A)を当日より始めた。処方(A)は「防己黄耆湯・五苓散・五皮散加減」で(黄耆60g、白朮6g、防己6g、
茯苓8g、沢瀉10g、桂枝3g、防風6g、大腹皮2g、甘草3g、大棗3g、陳皮4株、生姜
6g、桑白皮10g、薏苡仁22g、車前子7g
)である。浮腫は2日目、 3日目が最高に達し、目があけられない状態であったが(ただし、四肢は軽度の浮腫)、徐々に軽減し、
処方(B)にかえてから効果大で,日毎に浮腫は著明に減少し,10日目には顔面四肢浮腫、腹水は消失した(写真3、4)。
処方(B)は(A)から車前子・薏苡仁・防風を除き,猪苓・紅砲・酒大黄を加味した(黄耆60g,白朮6g,防己6g、茯苓8g、沢瀉10g、猪苓10g、桂皮3g、大腹皮2g、甘草3g、大棗3g、陳皮4g,生姜6g、桑白皮10g、酒大黄3g,紅花3g)。
蛋白尿は8日目には13.4g/日と増量し,TPも4.0g/㎗と低下したが、A1bは少し上昇し、1.8g/㎗になった。
10日目には,浮腫,腹水消失したので処方(C)に変更する(黄耆60g,人参6g、白朮6g,甘草3g、当帰6g、大棗4g、陳皮4g,
胡6g、升麻6g、生姜4g、酒大黄3g,花3g、山茱莫5g)。
蛋白尿は15日目には9.5g/日,22日目には2,0g/日と順調に減少し,30日目には0.1g/日となりTPは6.0g/㎗、A1b3.6g/㎗と改善した。
その後処方を(D)に変更する。処方(D)は、(C)の黄耆を40gに減量したものである。33日目には康蛋白陰性となった。34日日よりツム
ラエキス剤補中益気湯・牛車腎気丸に服用変更するも,尿蛋白(-)であるため37日目に退院となった。
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写真3 |
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写真4 |
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病因 |
八綴 |
水腫の症候 |
押した陥凹 |
弁証 |
陽水 |
多くは外因 |
表・実・熱 |
突然に発症し、水腫は顔面に多く、腰以上の部位に好発 |
回復しやすい |
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陰水 |
多くは内因 |
裏・虚・寒 |
下肢に緩慢に発症し、腰以下の部位に好発 |
回復しにくい |
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考察
本症例は,腎生検を行っていないが,ネフローゼ症候群の診断基準をすべて満たすことより,ネフローゼ症候群とした。ネフローゼ症候群の
浮腫は,中医学によれば水腫に相当する。水腫は,外感と内傷によるものがあり,その病機は,肺脾腎の三臓と関係し(たとえば,陰水と揚水),寒熱虚実の錯雑と転化に注意することが大事とされている。陰水と揚水の鑑別は表1
に示す)。蛋白尿は中医学的には腎の固摂機能の低下により,水穀の精微が漏出することによるというのが一般的である。ただし脾虚下陥めた
め,精微物質を運化吸収できず,さらに精微物質は下滲すると蛋白尿となることも考えられる。
本症例の初発ネフローゼ症候群は,妊娠中に初発した。証候を分析すれば,「入院前より,手背に浮腫が見られ,入院時に顔面の浮腫が出現するも,手背浮腫,とくに大腿の浮腫が顕著で押しても陥凹がもどらない」のは陰水である。「便秘で,排便にカを要し,最初は固く後は軟便」は気虚便秘で,「2階まで上がると一息ついてから動くが,息切れ(-),咳蠍(-),動悸(-)。」は気虚である。「顔色淡白,脈沈細」は生血不足。「不眠」は生血できず心神失養。「舌淡紅,薄白苔,歯痕」は水湿内停。「低身長(144cm),第1子出産後腰痛,尺脈無力」は腎気不足である。以上のことを念頭にいれて考えると,主症の浮腫は全身性で,陰水で,「尿少」もあり,「四肢冷感(-)」であることから脾虚水腫と考えられる)。腎気不足は本であるが,現桂は牌が主体なので,蛋白尿は清陽下陥,と考えられる。よって弁証は,脾虚水腫・清陽下陥・腎気不足となる。
立法処方としては,「補中益気湯加大量黄耆」を考えた。補中益気湯は補中益気・昇陽挙陥の効能があり,黄耆はその君薬で.補牌の主薬で,
利水消腫ができ、蛋白尿にも有効であり,大量に使っても副作用はほとんどないからである。 |
効果は顕著で、約6週間で蛋白尿が(-)になっている。
途中、山茱莫を加味したのは、補腎と固渋を目標にしている。大黄加味の意味は後述する。一般に、妊娠中のネフローゼ症候群の場合、妊娠中毒症との鑑別が問題になるが本症例では、高度蛋白尿である割には高血圧を認めなかったことにより、ネフローゼ症候群が考えられた。また妊娠中のネフローゼ症候群には、ステロイド療法(40mgと大量)を使うが、ステロイドの一般的な副作用のみならず、凝固機能を亢進させて、分娩時に合併症を引き起こす可能性もあり、胎児の副腎皮質機能抑制にもつながるので問題は多い。それと比較すると黄耆は大量に使っても副作用はほとんどないので、安全に利用できる利点がある。
再発のネフローゼ痘候群は産後6カ月目に発症した。その症例を分析すると,「咳が減ってきて,朝夕に5-6回だけ,少しの鼻水,咽頭イガイガ感,悪寒発熱(-),悪風自汗(一),顔面浮腫著明,目もあけにくい。押しても陥凹はあまりみられず,四肢の浮腫は軽度。小便が出にくい」は,外邪恋表・肺失宣粛・水道不利のための浮腫である。
「疲れがひどく,話すのもおっくう。お腹は減るが食べられない。下痢頻回・吉淡紅・薄白苔・歯痕」は脾虚による運化失常。「顔色淡白,脈沈細」は生血不足。
「体がだるい・下腹が張る・腹水・頭重感・咽頭につかえ感・口渇はあるが飲みたくない」は,脾虚湿盛・湿邪内阻の症状。「低身長(144cm),尺脈無力」は腎気不足。
以上より,風湿恋表・脾虚湿盛・腎気不足と弁証できる。
浮腫は陽水に似るが,下肢浮腫から始まり,脾虚が本であるので,やはり陰水と考えられる。そこで益気祛風,健脾利水の防己黄耆湯・利水消腫・理気健脾の五皮散、利水滲湿の五苓散の合剤加減を考えた。これが処方(A)である。
猪苓が手元になかったので薏苡仁・車前子で代用し、祛風湿のため防風を加味した。
ところで処方(B)に変更したのは、処方(A)でも利水作用が不十分であったので、活血化瘀剤の紅花、酒大黄を加味したことによる。
すなわち「血巡り行けば,水も巡り行く」の原則による。ただ、 下痢が改善しかけたところで.軟便気味なので(1回f/日)生大黄をやめて代わりに、酒大黄にして潓下作用を軽減させた。猪苓が入荷したので、薏苡仁・車前子を減らした。効果は著明で利水効果大であった。
処方(C)に変更したのは,浮腫・腹水が消失したので,蛋白尿治療を目標としたためである。この時点で再度,所見を見直したら,最初の症状はほぼ消失していた。浮腫・腹水なく、食欲もあり,下痢(-),口渇(―),口粘(-),
舌淡紅,薄白苔,歯痕は軽度になった脈沈細、尺脈無力。
そしてやはり,四肢冷感・腰膝酸軟はない。胸脇苦満(-)。
ネフローゼ症候群を治療する場合,「腎を本とし,肺を標とし,牌は制水の臓」として考えるのが通常であり,浮腫のとれた今,牌か腎かを考えねばならない。
脾陽虚衰なら実睥飲,腎陽衰微なら牛車腎気丸合真武湯が基本方剤であるが、本症例には陽虚の所見はなく,腎虚の症状もあまりない。経過から見て,蛋白尿は清陽下欠陥とみた方が妥当であると考えて,妊娠中のネフローゼ症候群と同様に「補中益気湯加大量黄耆」を主として,山茱莫・紅花・酒大黄を加味した。升麻・紫胡は昇陽できるので蛋白尿改善のため前回より‘2倍量と多くした。処方(D)は黄耆の量を40gに減量しだだけである。
これらの処方によって,効果は顕著で約5週間で蛋白尿が(-)になった。
その後,現在(2001年2月)に至るまで,補中益気湯と八昧地黄丸のエキス剤を服用中であるが,ネフローゼ症候群の再発はなく,蛋白尿
は(-)が続いている。 |
結語
妊娠中に初発し.その後再発したネフローゼ症候群を,大量の黄耆を特徴とする漢方方剤のみで短期間に寛緩導入できた。そして,その漢方方剤を選択した弁証論治の根拠を示した。弁証論治が的を得た場合.ステロイド剤反応良好例の治療効果と遜色ない効果が得られる例もあることを示した. |
謝辞
本論文を作成するにあたって.呉迎上海第一治療院院長、呉澤森先生に恒星誓憲一治療院
院長.真滝森先生に御校閲していただきました。深く感謝致します。 |
文献
1)張朧英:糸球体腎炎・ネフローゼ症候群の中医学的治療一中医学的なとらえ方と臨床例.東洋医学,10
(4).46-50(1982)
2)柯雪帆:中医弁証学.東洋学術出版社,東京,1996
3)張朧英:黄耆の不思議.中医臨床,19(1),76-78
(1998)
4〉中山医学院:漢薬の臨床応用.医歯薬出版,東京
5)上村周子,武田佳彦,中林正雄,他:ヘパリン.
ステロイド療法が著効したネフローゼ症候群合併妊娠の一例.日産婦東京会 誌,46(4),362-365(1997)
6)小暮敏明,寺澤捷年他:補中益気湯と桂枝茯苓丸加紅花大黄が奏効したネフローゼ症候群を呈した慢性腎不全の一例.日 本東洋医学雑誌.47(1).43-48
(1996)
7)中国伝統医学教育センター:中医内科学.大阪,1998 |
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