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    ドクターエッセー 第32回  【閑話休題】   西湖をあるいて  
 

 上海は大きな町です。豫園、外灘、南京路など見どころがありますが、比較的歴史の浅い町です。そこから南へ150kmほどいった所に杭州があります。高速鉄道(中国の新幹線)に乗ると1時間位でいけます。ここは南宋の時代、臨安といって国の都でした。日本では平安時代に相当し、平清盛が宋貿易をしていました。マルコポーロの『東方見聞録』で「世界で最も美しく華やかな土地」と称されたところです。当時の豪華絢爛な建物は文化大革命の時代にすべて破壊されてしまったようですが、歴史のある建造物は多く残っています。たとえば西湖の周辺には春秋時代(西暦326年)に建てられた霊穏寺といって有名な禅寺があります。広大な敷地にいくつもの寺院があって、今も多くの僧侶が修行しています。雷峰塔も寺院の一つです(写真1)。昔、雷峰塔の檀家に許仙とその妻白娘子がいました。雷峰塔の住職はその妻が白蛇の化身であることを見抜きます。むかし許仙がたすけた白蛇が妖術をつかって人間になって、許仙恋をしてしまったのです。それをしらない住職は許仙が大きな災いをうけていると思い、妖術をつかう白娘子を法力で退治して雷峰塔の地下に閉じ込めてしまいます。これが有名な「白蛇伝」です。
西湖は周囲15kmほどの風光明媚な湖で世界遺産になっています。緑が多く、しだれ柳がきれいですが湖の水は濁っています。中国の黄河や長江にしても黄土色に濁っているので、中国の河川はそんなものなのでしょう。日本の湖の方が、よほど透明感があります。でも周囲は山あり寺院あり完備された遊歩道があり、散歩するにはとてもいいところです。茶館

              昔この西湖の美しさに見せられて、詩をよんだ官吏がいました、唐代の白楽天と宋代の蘇東坡です。かれらは、行政官でもあったので湖の浚渫工事もしました。その工事で出た泥を積み上げて西湖内に堤を作っています。白楽天が作ったのは「白堤」、蘇東坡が作ったのは「蘇提」といって今も残っています。蘇東坡がとても好きだった豚の角煮が「東坡肉(トンポーロー)」といって名産になっています。とても美味です。西湖の南に行くと河坊街があります。木造家屋のなかに土産物屋、料理店、漢方薬局、茶館、などが並んだレトロな通りです。茶館では、お茶を入れるのに曲芸をしながら入れてくれます。杭州の町は古い歴史と自然美があり、そこに近大的な建物が混在した面白い街です。そうそう、西湖東がわの食堂街で、神田川ラーメンの店(大阪の料理の鉄人の店?)がありました。めったに日本人に合わない町なので、日本恋しくなりついついよって食べてきました。上海へ行く機会があったらぜひ杭州にまで足をのばしてみることをお勧めします。神田川はどちらでもよいです。
     
 
     
 
     
 
     
 
     
 
 
 
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