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    気管支拡張症の治療(とくに痰熱壅肺の治療はどうするか)2 H24年12月9日
 

G-4)痰熱が取れた後、痰飲とるには温陽宣通する:3、11の解説


3-1)
洪広祥

1)
肺脾気虚、
痰熱壅肺、
瘀滞阻絡

①痰熱瘀血と肺脾気虚があり標実をまず治す。
麻杏甘石湯+瀉白散+黄芩、敗醤草、金蕎麦根(清熱化痰)+桔梗(宣発排痰)+白及、合歓皮、三七、制大黄は活血生肌

黄痰がなくなり食可、便可になって
②扶正袪邪する、張仲景の「痰飲は温薬を持って治す」の治療方針に沿って大胆に黄耆附子と苓桂朮甘湯を使用。

11)
李寿山

1)陽虚挟寒不能摂血
60歳、咳喘20年、反復発作。最近、風邪から咳漱、喀血やまず。
精神萎靡、顔色白、呼吸困難、平臥できない、身体虚浮,煩躁汗出る、声低い、喉に痰有、咳中血あり、鮮紅色で中に暗紅の塊有。毎回100~300ml、心悸、無力、食欲ない、二便可。舌淡黒苔滑、脈虚数

 

●前医は涼血止血を使用したが効果なし。そこで温薬止血で収斂したら効果あった。
1)柏葉湯湯加減
側柏葉20炮姜15艾葉10西洋参25童便100ml

 

●血熱妄行なら当然涼血止血するが、失血が長く続くと熱は血と共に去り、陽気を損傷して摂血できなくなる。そのとき温薬で温経して止血する。
柏葉湯(側柏葉15乾姜6艾葉6)または
黄土湯(黄土30干地黄9白朮9附子9阿膠9黄芩9甘草9)

「60歳の高齢、元気ない、喀血反復」→気陰両虚」
「顔面咣白、少気、声微、心悸、舌淡黒苔滑、脈虚数」→陽気虚弱
「膈気が虚して脈は数になる」これを知らないものは清熱止血をつかうが止血しない。
④乾姜の辛熱温燥をきらって焼いて黒くする

傷寒論122)病人脈数、数為熱、当消穀引食、而反吐者、此以発汗、令陽気微、膈気
虚、脈乃数也。数為客熱、不能消穀。以胃中虚冷、故吐也。
「病人の脈、数は熱であり当然食欲あるはず。しかし吐くものがある。これは発汗させて陽気が衰
えて、膈気が虚したために脈が数となった。この数は客熱(仮熱)であり、食欲は減り胃中が冷えているのではいてしまう」

G-5)肝火について


38>王静安
肝火犯肺、木火刑金

肝火犯肺、木火刑金→荷葉茅仙湯
荷葉60仙鶴草30白茅根60白芍30山梔子9茜根炭15側柏葉炭15蒲黄炭15大小薊15旋覆花15款冬花15橘絡9
「肝病は体陰用陽なので、せめてはならない。白芍が良い。本治の要薬である。また熱は必ず傷津するので落ち着くと沙参、麦門冬を入れる。荷葉、仙鶴草、白茅根で収斂涼血止血して白芍入れる。」

9)赵尚久
肝火犯肺、痰熱壅肺、絡脈損傷

1)黛蛤散と葦茎湯
芦根30冬瓜子30薏苡仁25桃仁10青黛10海蛤穀15桑白皮12田七5
●①葦茎湯は肺疾患に多く使えるが。気管支拡張症、喀血痰多にもよい。黛蛤散を使用して止血を計る。
②改善後は葦茎湯+参麦湯

39)
刘渡舟
肝火犯肺

1)黛蛤散と葦茎湯
青黛6海蛤穀6花蕊石12鵞管石12側柏葉炭10芦根30薏苡仁30冬瓜子20桃仁6紅花6貝母6馬勃6
●肝火が肺津を焼き尽くして痰を作り離経の血が肺にたまり、痰と瘀血が互結する。だから活血のとき、粘調の痰と胸肋痛がみられる
花蕊石(かずいせき)>止血化瘀。

1-2)邵长荣
肝火犯肺、痰熱内壅、灼傷肺絡

喀血が続くときはイライラと関与して木火刑金になるので平肝清火する(柴胡、平地木、白芍、牡丹皮、夏枯草、野菊花+蒲黄、茜草、藕節、)
またそれでも続くとき瘀血が関与→川芎

6)戴裕光肝火刑金

           犀角地黄湯(犀角3生地黄30芍薬12牡丹皮9)
合瀉白散(桑白皮30地骨皮30炙甘草3粳米)

7)梁贻俊
肝熱上攻、傷及肺絡

生地黄、白芍、黄芩、赤芍を使用。
この4剤は平肝清肺、清熱涼血できる。巩固治療のために喀血とまっても使用した。

22>林琳

②肝火、すなわち陰虚相火をとる
黛蛤散(青黛、海蛤穀)+白芍、柴胡、黄芩を使う

●まとめると肝火犯肺には黛蛤散(青黛9海蛤穀9)、芍薬、柴胡、黄芩、生地黄、牡丹皮が主。その他、平地木、夏枯草、菊花
黛蛤散(青黛9海蛤穀9)>肝火犯肺、頭暈耳鳴り、咳痰帯血
青黛>鹹寒、肝肺胃;清熱解毒、涼血散腫
海蛤穀>苦鹹寒、肺胃 :清肺化痰、軟堅散結

G-6)陰虚にたいして
百合固金湯5,18,40,47、6  三百一母湯(百合、百部、白及、貝母)20
生脈散20,22,32  けい玉膏(生地黄、人参、茯苓、蜂蜜)28   清燥救肺湯43     白及32、沙参24


22>林琳

●④後期は気陰を考量する。
標本兼顧して清熱化痰、滋陰潤肺する
北黄耆生脈散加薏苡仁、敗醤草。  陰虚がひどいと百合固金湯→
(熟地黄、生地黄、玄参、麦門冬、百合、貝母、当帰、芍薬、桔梗、炙甘草)
気陰両虚なら北黄耆生脈散加百合固金湯加貝母、魚醒草、海蛤穀。
黄耆は後期には欠かせない中薬

4)王会仍

①肺は嬌臓で外邪を受けて長く治らず、邪気が化熱して肺津を焼き、陰虚火旺になり、迫血して喀血。
●②「この疾患は陰虚が本で補陰が重要」南沙参、北沙参使う

5)
赵昌基

①拡張症の喀血は気陰両虚で化熱が血絡を灼傷したから.だから百合固金湯合三黄湯加三七を使用。②「三七は止血して瘀血を止めない良い薬

20)
吴熙伯

三百一母湯(百合、百部、白及、貝母)
症状減ると生脈散加減に変更

10-2)
苏万方

本例は長期咳漱で肺陰損傷して陰虚火旺あり。気虚は明瞭でないが無力あるので●太子参、山薬つかった。人参、黄耆、白朮は使わぬ。温燥で動火の弊があるから。

28)
高辉远

朱丹渓のけい玉膏を使用した。(生地黄、人参、茯苓、蜂蜜)人参、茯苓で脾気を補えば肺虚は回復する「虚則補其母」の意味である。さらに黄耆炙甘草、

43)
张琪

●清肺潤燥すると肺気は粛降できて下行でき気郁は自然に去る。これは喩氏の創意である。
清燥救肺湯、沙参麦門冬がよい。

32)姜春华

白及は肺陰を補い、消腫生肌する、すなわち組織を新生するので結核空洞に良い。

36)
唐志欽

肺気不宣がこの疾患の病機である。
麦門冬湯+桑葉、枇杷葉、瓜殻で肺気を宣発する。

21-1)
施今墨

慢性期に入ると南北沙参、六君子湯。

24)
尚荣

③滋陰:沙参、麦門冬、五味子、百合、天門冬
●改善後、沙参を入れて肺陰をかため伏火を制することを忘れてはならぬ

●この疾患は陰虚が本で補陰が重要で、とくに後期は気陰を考量する。
①沙参を入れて肺陰をかため伏火を制する②白及は肺陰を補い、消腫生肌する、すなわち組織を新生するので結核空洞に良い。その他、百合固金湯、三百一母湯(百合、百部、白及、貝母)、生脈散、けい玉膏(生地黄、人参、茯苓、蜂蜜)清燥救肺湯
G-5)排膿剤は、資料のなかで□で表示した。
G-6)痰熱+陰虚をどうするか→ 甘淡養陰、甘寒清熱±苦寒清熱。


13)
胡翘武

1)
痰熱蘊肺
絡損陰傷

 

1)薏苡仁30葶藶子10芦根30蒲黄炭6阿膠10桃仁10冬瓜子30藕節30南沙参30百合30貝母10山薬30栝楼皮30竹茹10石斛10枇杷葉15

①肺中では痰熱があり、肺陰を損傷する。
②滋陰するには甘淡養陰(甘微寒~甘平)がよい。南沙参、百合、石斛、山薬、阿膠。
③清熱化痰には苦寒はよくない、薏苡仁、栝楼皮、竹茹、枇杷葉、冬瓜子、葶藶子(甘寒)がよい。
(ただし枇杷葉は苦平、葶藶子は苦大寒である、他は甘寒)

40)
陈乔林

陰虚火旺肺胃積熱迫血妄行

生地黄15玄参15麦門冬20白芍15黄芩10生地黄10白茅根20花蕊石20藕節15蘇子8
●方剤中に甘寒(生地黄15玄参15麦門冬、)苦寒(黄芩)入れてあるのは、陰虚と実火の病機に正合させるため

 

阿膠

甘平、肺肝腎

補血止血、滋陰潤肺

石斛

甘微寒、胃腎

養胃生津、滋陰除熱

山薬

甘平、脾肺腎

益気養陰、補肺脾腎

沙参

甘微寒、肺胃

清肺養陰、益胃生津

百合

甘微寒、肺心

潤肺止咳、清心安神 

薏苡仁

甘淡微寒、脾胃肺

利水滲湿、健脾、除痺、清熱排膿

冬瓜子

甘寒、肺大腸

清肺化痰、消癰排膿、、利湿

葶藶子

苦辛大寒、肺膀胱

瀉肺平喘、利水消腫

竹筎

甘微寒、肺胃胆

 清化熱痰、除煩止嘔

枇杷葉

苦平、肺胃

 化痰止咳、和胃降逆、清肺化痰(平だが清熱できる)

栝楼皮

甘寒、肺胃大腸

清肺化痰、利気寛胸

生地黄

甘苦寒、心肝腎

 清熱涼血、養陰生津

玄参

苦甘鹹寒、肺胃腎

 清熱解毒、養陰

麦門冬

甘微苦微寒、肺心胃

潤肺養陰、益胃生津、清心除煩 

G-7)後半に黄耆を使うか否か

黄耆よくない10 
「陰虚肺熱、肺絡失寧の症例に、本例は長期咳漱で肺陰損傷して陰虚火旺あり。気虚は明瞭でないが無力あるので太子参、山薬つかった。人参、黄耆、白朮は使わぬ。温燥で動火の弊があるから。」

黄耆必要22
「拡張症の治療4原則として④気陰を考量して後期には、標本兼顧して清熱化痰、滋陰潤肺、北黄耆生脈散加薏苡仁、敗醤草使用する。黄耆は後期には欠かせない中薬とする」

G-8)伏火24、伏痰12
「①伏火が肺絡を焼灼して喀血するのが初発原因である
治療方針「涼血、止血、滋陰」
①涼血:玄参、生地黄、白芍、牡丹皮、白茅根
②止血:地楡炭、側柏葉、藕節、阿膠、三七、白及(3,14,32)
③滋陰:沙参、麦門冬、五味子、百合、天門冬
●改善後、沙参を入れて肺陰をかため伏火を制することを忘れてはならぬ24
「①哮喘は外感が伏痰を誘発しておこるもの。三拗湯に紫苑、百部、白前。宣肺平喘して止咳化痰する。蘇子、白前は降気袪痰する」 12-2)

H)麻黄使用の注意点>(発汗作用があるので陽気、津液損傷しやすい。)
咳漱で痰熱壅肺なら、一般には清金化痰湯である。しかし、麻黄剤の使用もある。どのようなときに麻黄を使うか?「風熱または風寒入裏で脈不浮のとき、老中医はどのように麻黄剤つかうか」
①急性~慢性気管支炎の麻黄使用症例11例中から       


喘鳴があるとき5。胸悶閉塞2、発熱が取れないとき1。風寒が未徹1、
痰鳴あるとき1咳漱気急1、

②そのうち、慢性気管支炎で
慢性気管支炎5)靳文清>地竜は麻黄の升性を下げて平喘を助ける
慢性気管支炎13)刘越>二陳湯+麻黄、桔梗(肺気の郁をとる)→継続的に使用。
慢性気管支炎16)王行寛>麻黄を入れるのは郁火を発散させるためである。火が発散して喘はやむ。苦寒のみなら火は発散する方法がない、氷に出会い内閉してしまう。
③硬皮症より
9)艾儒棣>麻黄は辛温解表で峻剤なので用量に注意して効けばやめる
④痺証から
私見>麻黄は衛気を鼓舞して且つ営気をめぐらせて寒邪を除く作用があるので(去营中寒邪,调血脉;本草備要より)風寒湿痺には有効と考える
⑤深い所に麻黄をつかう場合
1)陽和湯は血虚で寒凝痰滞した陰腫につかう方剤である。麻黄は腠理を開いて血分の寒邪を表へ誘導する。
2)麻黄附子細辛湯
麻黄は表に残る寒邪と少陰に直中した寒邪を発散させる

I)痰熱壅肺の咳漱に麻黄剤以外ではどう対処するか

急性気管支炎で19)滕宣光          痰熱壅肺
「6歳、咳漱が半月余り続く。いま咳漱はせき込みがあり声は重く痰有、夜間咳重、納差、便干、尿黄少。舌質紅、苔薄白、脈滑数。呼吸音は粗。」
蘇子10黄芩10桑白皮10杏仁10葶藶子6白前10百部10枇杷葉10鉤藤10牡蠣15海浮石15天竺黄10

老師は小児の咳漱治療には
①核心治療として蘇子、黄芩、杏仁、桑白皮使う。蘇子は辛温で降気袪痰でき、黄芩は苦寒で清肺するが蘇子黄芩で辛開苦降できるので良い。桑白皮は甘寒で清肺でき、杏仁は辛温で滑潤できる。すなわち4剤で辛開苦降、清潤できる。
②痰熱は傷陰するので百部、枇杷葉入れて潤肺止咳する。

③咳漱がひどく治りがたいのは、痰と気が詰まっているからだ。
葶藶子でなければとれず白前を配する。白前は葶藶子の寒性を和らげ降気袪痰する。
④痰越互結で取れない者は牡蠣、海蛤穀、海浮石を使う
⑤発作的咳漱には地竜、鉤藤の併用が良い。
⑥痰熱壅盛には天竺黄が良い

J)参考>「邪が入里して脈不浮」のとき、麻黄剤以外の解表剤は使用できるか否か。
使用例はある。
1)養陰清肺湯(白候の方剤)の中に薄荷いれて疏風散熱はかる
2)沙参麦門冬のなかに桑葉いれて肺燥を治す
3)仙方活命飲の中に防風、白芷しれて疏散外邪する。
4)托里透膿散の牛蒡子、白芷

 

 
 
 
 
 
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