1)主に皮膚瘙痒症を起こす疾患
西洋医学定義>皮膚に瘙痒感のみあり、発疹を認めない状態をいう。ただし掻破のため2次的に発生する掻破湿疹、苔癬化、膿痂疹は含める。汎発性皮膚瘙痒症、限局性皮膚瘙痒症、老人性皮膚瘙痒症がある。
●中医学では「瘙痒」として(皮膚病中医診断学より)
①血熱生風②風盛作痒③風湿客肌症④風寒束表⑤血虚生風⑥瘀血阻滞⑦脾虚衛弱がある
2)主に紅斑を起こす疾患(西洋医学でも教科書によって分類はことなる)
①滲出性紅斑②環状紅斑③蕁麻疹様紅斑④SLEの紅斑
●中医学の教科書では
2-2)「中医皮膚病学」より
①銀屑病(尋常性乾癬)②単純糠疹③玫瑰糠疹(ジベルばら粃糠疹)④扁平苔癬⑤紅皮病となっており、西洋医学の病名の羅列になっている |
2-3)「中医症候鑑別診断学」では以下の分類になっていた。
一見、弁証分類のようである。しかし、内容をよく読むと、これは左端に僕が付記した西洋医学病名に相当する。すなわち、これも西洋医学病名を羅列したに過ぎない。
表1;紅斑の分類 ●は病機 |
陰虚火旺紅斑
●熱毒入裏,焼灼営血 |
斑色は鮮紅色、銭形あるいは胡蝶型、頬に対象に分布、鼻両側、耳口、唇、手背。五心煩熱、咽干、口燥、頭昏耳鳴り、眩暈、午後潮熱、腰酸腿軟、失眠盗汗、関節酸痛、便干、小便黄、舌紅少苔津ない、脈細数無力 |
SLE紅斑 |
脾不統血紅斑 |
両下腿に針先から楡大の淡紅色の斑点、経過長く、反復、顔白、疲れ無力、食欲不振、腹脹、便溏、下肢浮、鼻血、便血、子宮出血、舌淡薄白、脈濡弱 |
血小板減少性紫斑? |
血熱風燥紅斑
●風邪燥熱客肌膚、飲食不節内外合邪、熱郁血絡 |
発病は急、肘膝関節の伸側に、頭皮、躯幹、
紅色あるいは鮮紅色の斑点、だんだん大きくなり、その上に銀白色の鱗屑が重なる、層になって剥がれると出血がでる。痒くて心煩易怒、口干舌燥、便結、小便黄赤、舌紅苔黄、脈弦滑数 |
乾癬 |
風邪外襲紅斑
●血熱内蘊、外感風邪、内外合邪 |
春秋に発症多い。胸背、上肢、腹部におこり母斑があり、だんだん多くなり、白屑は糠の様。
頸膝にバラ色の斑片大小不一、対称分布、搔痒あり、心煩口渇、便やや干、少便黄、舌紅薄黄、脈弦数、斑の長軸は皮膚紋里の方向と一致。 |
ジベルばら批糠疹。 |
風熱傷営紅斑
●血熱 |
斑色は暗紅または鮮紅色、春秋に多い、顔面手足背側に、ソラマメ大の紅斑、中心が陥没して周囲は堤防状に隆起する。中心に水疱、猫の目に似る。最初身熱頭痛、口干咽喉痛、便干、小便黄、舌紅絳、薄黄苔、脈弦滑数 |
多型滲出性紅斑
ウイルス?
アレルギー? |
湿熱阻絡紅斑
●湿熱下注
凝滞血脈 |
脛前に常に出る、まれに両太もも、上腕にでる。
鮮紅色、梅の種の大きさの硬結、灼熱疼痛感、
触ると酷い、下腿浮腫、歩くのが不便、口中粘膩、腹脹食欲ない、便爽、小便黄赤、帯下黄臭い、舌黄膩、脈滑数 |
結節性紅斑
溶連菌感染説、
ウイルス説 |
|
3)紅斑の基礎的な見方
中医皮膚病学では、
紅斑>まばらなら気分、密集なら血分
皮膚病中医診断学では、
紅斑>斑は限局性の色素改変であり皮膚面より高くならない。仮にへこんでも限局性で1~2cmである。圧して退色すると、気分に熱あり、退色しないと血分に瘀血有。
紫斑>陽明に熱あり、黒斑は熱がひどい時、白斑は気滞、気血不調。
参考:西洋医学では圧迫して退色するのは血管拡張であり、退色しないの は紫斑(血管外に血液のもれ)である。
私見>以上のような分類、情報だけでは中医学的に皮膚疾患を考察するのには不十分である。そこで、もう少し、診断、治療に役立つ知識が必要とおもわれる。その積み上げがないとアトピーのような複雑な疾患を解明できない。
「そこで老中医の症例と治療をみてみよう」
4)皮膚瘙痒症について(資料、瘙痒)
表2、3を見て、次に解説する。 |
表2 |
|
|
除湿>気分、血分 気分熱 |
6)
赵炳南 |
1)皮膚搔痒症:風湿内侵、湿毒
>除湿解毒、熄風止痒する。
58男、全身皮膚搔痒1年、掻破後、皮膚紅、風団はない、睡眠不良、掻いても収まらない、皮膚は粗造、あるところは苔癬様に変化、浸出液はない。掻いたところは血痂 |
1)
全蠍6、皀角刺12皀角6蒺藜子15
炒瑰花15枳穀9荊芥6蝉退6
苦参6 威霊仙12白鮮皮30紫根9
|
7)
朱仁康 |
1)老人性皮膚搔痒症>血虚風燥
74女、両すねが搔痒で始まり、全身に及ぶ。皮膚は干燥してたるみ、弾力低下している、掻破痕多い、血痂あり、舌紅少苔、脈細無力 |
1)生地黄20熟地黄20天門冬10麦門冬10天花粉10白蒺藜10蝉退10桃仁10何首烏12枸杞子12当帰12
●血虚風燥は年寄で体弱の人に多く、冬寒冷に多い、心悸失眠多い、顔には華なく、舌淡脈細になる。
①滋陰養血には生地黄、熟地黄、天門冬、麦門冬、天花粉、当帰、枸杞子。
②袪風止痒には蝉退、白蒺藜 |
8)张志礼 |
1)老人性皮膚搔痒症
>気虚血燥、肌膚失養、
70男、皮膚搔痒10年、この2年酷い、冬に↑、夜痒くて不眠、夏はましになるが寛解はしない、表情は苦痛、体はやせ、皮膚干燥、糠用の鱗屑、不規則な掻破痕、血痂、掻いた後に色素沈着、皮膚肥厚。
2)皮膚搔痒症>
風湿蘊阻、肌膚失養
54才男、髪そめてアレルギーになる、腫れが引いたが頭面皮膚に突発性の搔痒、酒飲むとかゆい、寝返りばかりする、掻き破ると痛みは和らぐ、夏に汗かくと酷くなる、最近は全身が痒い、睡眠にも影響、昼間無力、口苦、食欲ない、痛み辛さは耐え難い、皮膚は粗造、掻破痕は線状で血痂あり、部分的肥厚して苔癬化、毛嚢性丘疹あり。舌尖紅、白膩苔、脈滑微数、 |
1)党参10黄耆10生地黄10熟地黄10麦門冬10当帰10赤芍10白芍10丹参15鶏血藤15何首烏30蒺藜子30防風10苦参15地膚子15浮萍10
●気虚で瘀血になり、血虚で濡養できないので皮膚は乾燥し、肥厚し、痒くなる。
①滋陰養血には生地黄、熟地黄、天門冬、麦門冬、当帰、赤芍、白芍、何首烏
②袪風除湿止痒
防風、白蒺藜、苦参、地膚子、
③浮萍は冬季の老人の搔痒にはよく用いて発汗、透表開腠理、袪風止痒できる。
④老人の皮膚搔痒は神経衰弱、動脈硬化、糖尿病、尿毒症、腫瘍などと関連多い
2)全蠍6白蒺藜30皀角刺6
白鮮皮30地膚子15苦参15車前子15車前草15沢瀉10生白朮10防風10枳穀10生地黄15槐花30当帰10何首烏30●湿盛んなら皮膚は増厚して搔痒は長引く。 |
9)禤国维 |
1)肝経湿熱(陰嚢搔痒症)
陰嚢痒くなり3年、酒飲むと生食すると酷い、夜眠れず。陰嚢皮膚干燥、増厚、粗造、苔癬化、舌淡紅、白膩苔、脈弦滑 |
1)竜胆草15山梔子12紫草15白蒺藜15防風15地膚子15車前子15白花舌蛇草30烏梅20甘草10 |
10)
欧阳恒 |
1)血虚肝旺(老人性皮膚搔痒症)
全身皮膚干燥、少量の皮屑、掻破痕、血痂、丘疹はない、びらん滲出はない、舌紫、光剥無苔、脈細数 |
1)当帰10白芍10熟地黄10何首烏15白蒺藜15玄参10鉤藤10茯神15夜交藤15
●諸病源候論では「風搔痒者は、体虚で風を腠理で受けて、血気が相打ち、皮膚の間に往来する。邪気が弱いと痛みにならず搔痒になる。」
●肝血虚で生風のときみだりに風薬を投与してはいけない。まずは当帰芍薬、川芎、熟地黄、何首烏、白蒺藜、鉤藤で養血平肝、袪風潤燥する。- |
|
表3
11)
许连霈 |
1)陰血虚損、生熱動風
皮膚が一年中痒い、この2,3年酷くなった。冠心病10年。皮膚は乾燥して屑がでる、瀰漫性に肥厚、ザラザラで汚い、血痂、掻き傷が散布。
2)脾胃虚弱、水湿、化火生風
75男、秋冬になるとかゆくなる夜に酷いのが10年、全身皮膚が痒く、疹はない、四肢頸部は苔癬肥厚、生臭い物を食べると酷い、夜不眠。躯幹四肢は掻き傷が散在、すねには色素沈着、両手人差し指、中指末端の指背は暗紅で浸潤している、舌尖紅、根部ほぼ膩。
3)結節性痒疹、皮膚搔痒症、黄褐斑>肝胆湿熱
45女、全身の皮膚が半年痒い、この2週間は肛門、陰部が痒い。黄褐斑が1年、月経乱れて1年、酒飲み数年、頬は蝶形黄褐色で色素沈着斑、全身に掻き傷、血痂、下肢には大豆大の硬い結節、舌紅黄苔 |
1)生地黄10熟地黄10何首烏15玄参15丹参15当帰10鶏血藤20白蒺藜20防風10全蠍3(冲服)白僵蚕12生甘草6
2)蒼朮15白朮15茯苓20沢瀉10黄柏10苦参10車前子10防風10滑石20牡丹皮20厚朴10桂枝10
3)
黄芩10竜胆草15茯苓15沢瀉10車前子10山梔子10柴胡10白蒺藜15金銀花15連翹10
|
12)
刘国安 |
1)老人性皮膚搔痒症>
血虚生風、気虚血瘀
73男、全身痒み3年、斑、丘疹なく風団でる。入眠に影響し、疲れて無力。胸悶気短、心悸心慌 、動くと酷い。口干口苦欲飲、皮膚干燥、潤い少なく白暗、掻破痕、四肢には屑有、舌暗紅干、薄白苔、脈沈細 |
1)生地黄15熟地黄15黄芩10防風10地膚子30白鮮皮30当帰15白芍10赤芍10黄耆30桃仁10紅花10天花粉15天門冬10麦門冬10 酸棗仁24竜骨30牡蠣30
●治療は養血袪風、益気活血で滋燥養栄湯合補陽環五湯 |
13)
张珍玉 |
1)血虚生風
61男。皮膚搔痒1年、原因不明で発症、全身痒い、対称性、時に痒く。時に消える、皮膚が突っ張る、局部の皮膚は干燥し、屑あり、色は淡紅、掻破後皮膚は紅、高く隆起し、熱感ある、舌淡紫、薄白苔、脈沈数弱 |
1)当帰9炒白芍9川芎9薄荷6桔梗6炒薏苡仁9地膚子9茯苓9荊芥6淡竹葉3甘草3
●
①本病は皮膚にあり血分生風で、肝に通じる、だから活血して風自滅させる。
②搔痒は風によるが風は陽邪、かつ血は温を喜び寒を嫌う。だから苦寒のくすりをつかい過ぎてはいけない。薄荷(辛涼)、荊芥(辛微温)地膚子(苦寒)
③この病は経過が長くなるので潤燥とともに袪湿を忘れてはいけない。袪湿は陰液損傷し、養血に不利なので健脾して袪湿が良いので茯苓、薏苡仁、白朮など。 |
14)
马宽玉 |
1)老人性皮膚搔痒症>血虚生風
60男、毎晩入眠時に痒み、掻いて出血が出るとましになる、不眠、便干精神疲れ無力、顔色不華、皮膚干燥、糠状の屑、四肢背中には掻破痕、血痂、皮疹はみえない。舌淡薄白苔、脈沈細 |
1)
当帰15白芍15川芎10生地黄15何首烏15夜交藤15白蒺藜15白鮮皮15防風10荊芥10黄耆20阿膠20酸棗仁20炙甘草6
●白芍は血中の血薬、川芎は血中の気薬でお互いに補い、補して停滞せず、営分が調和する。また「血行すれば風自滅」にもなる
●防風荊芥は腠理をひらいて表の邪をとる。 |
|
表2,3の解説>
①症例6;この症状でなぜ湿毒か?考えられるのは苔癬化があること。
対応しているのは苦参、威霊仙、白鮮皮
②症例7,8ともに老人性皮膚搔痒症。しかし8では除湿している。ちがいはなにか?8-2で解説あり。「湿盛んなら皮膚は増厚して搔痒は長引く。」
それゆえ症例9でも苔癬化あれば袪湿している。症例10では丘疹ない、肥厚ないので袪湿なし。症11-2、苔癬化あり袪湿剤あり、症例12は風団あって袪湿剤あり。症例13は高く隆起しており袪湿している。症例14では隆起皮膚はないようだが袪湿あり、しかし白鮮皮、防風だからむしろ袪風止痒の意味で使用しているようだ。
③症例8>浮萍は冬季の老人の搔痒にはよく用いて発汗、透表開腠理、袪風止痒できる。老人の皮膚搔痒は神経衰弱、動脈硬化、糖尿病、尿毒症、腫瘍などと関連多い
④症例13>この病(血虚生風)は経過が長くなるので潤燥とともに袪湿を忘れてはいけない。袪湿は陰液損傷し、養血に不利なので健脾して袪湿が良いので茯苓、薏苡仁、白朮など。袪湿なら健脾袪湿が良い
⑤袪風止痒には12例中、白蒺藜が多い9、防風7、白鮮皮4、地膚子3、全蠍3、苦参3、荊芥3、蝉退2、白僵蚕1、浮萍1、
結論1>「苔癬化、皮膚の肥厚があれば、皮膚表面が乾燥していても下に湿あり」と考えている老師が多い。 |
5)紅斑の色についての考察
5-1)先ほどの中医症候鑑別診断学の分類より
結論2>
紅斑の原因としては病機から考えて、気分ではなく、血分の熱がほとんどを占めている。その色は鮮紅色から暗紅色までいろいろある。蕁麻疹の講義で赵纯修は「熱が血分に及ぶと血熱になりゆえに皮疹は赤くなる。」としている。また衛気営血弁証でも紅斑は血分の熱としている。 |
5-2)表4 蝶形紅斑の弁証分類(中医症候鑑別診断学) |
毒熱熾盛 |
鮮紅色蝶形斑片、ひふに瘀点、瘀斑、高熱不退、関節痛、全身無力、煩燥、神昏譫語、抽搐、口渇便干、小便短赤、舌紅絳あるいは紫暗、苔黄燥干、脈弦滑または洪数 |
犀角地黄湯 |
陰虚内熱 |
斑色は暗不鮮、微熱持続、口干唇燥、頭昏無力、耳鳴目弦、月経不調、大便不暢、小便短赤、舌紅薄黄苔、脈細数 |
知柏地黄丸 |
脾腎不足 |
局部の紅斑ははっきりしない。顔は白、倦怠、四肢冷、足浮腫、ときに胸水、腹水、尿少、月経はまれ、閉経、小便不利、舌淡胖、歯根、薄白、白膩、脈細或沈細 |
金匱腎気丸
真武湯 |
風湿熱痺阻 |
紅斑は水腫性で鮮艶、発熱、関節痛、屈伸不利、咽喉干、口渇煩悶、不安、便干、尿赤、舌紅尖有刺、黄苔、脈滑数 |
独活寄生湯
宣痺湯 |
気滞血瘀 |
顔色と紅斑は紫暗、皮膚には瘀斑、紫斑、胸肋疼痛、右は強い、納差腹脹、噯気悪心、頭暈失眠、肝脾腫大、月経紫暗、血塊、閉経、舌紫暗、瘀斑、脈弦或いは細数 |
逍遥散 |
|
解説>
同じSLEの紅斑でも、執筆者がちがえば弁証も異なる。 先ほど(表1)では「陰虚火旺で鮮紅色」であったが、さらに弁証するといろいろな色がある。
結論3>
表4より暗紅色になるのは陰虚、気滞瘀血の時に多い。熱熾盛、湿熱なら鮮紅色としている。
5-3)ばら疹の弁証分類(妙法解析) |
風盛血熱 |
発病急、皮疹は鮮紅色、全s人に出る搔痒激烈、口苦咽干、発熱頭痛、舌紅、薄黄苔、脈浮数或数 |
涼血疏風飲 |
風熱犯肺 |
躯幹、四肢に1子数個の指爪大の円形、楕円形のバラ色の斑。徐々に拡大し、辺縁は鮮明、上には薄い褐色の鱗屑、孤立に存在して癒合しない。舌紅薄黄、脈浮数 |
消風散 |
血虚風燥 |
病程は長い、皮疹は淡紅色、皮膚干燥、鱗屑少し、口干咽喉燥、舌紅、少苔、脈数或いは細数 |
四物消風飲 |
|
結論4>
血熱なら鮮紅色で、血虚なら淡紅色としている。風熱犯肺すなわち気分熱でも赤い紅斑である。ただその場合は指爪大であり、「孤立に存在して」を強調しているのは気分にあるからだろう。
|
5-4)多形性紅斑の弁証分類(妙法解析) |
寒湿阻絡 |
春秋に寒を受けて発症。暗紅、あるいは紫紅斑片 |
当帰四逆湯 |
湿熱蘊結 |
発病は急、皮疹は鮮紅色斑或いは斑丘疹。上には水疱、搔痒、灼熱、びらん滋水、粘膜傷害、発熱倦怠、咽喉痛、口干、関節痛、便干、尿黄、舌紅、苔白或いは微黄、脈弦滑或いは微数 |
竜胆瀉肝湯 |
毒熱熾盛 |
発病は急、皮膚は紅斑、大疱、びらん、出血、迅速に全身に広がる、粘膜傷害され高熱ひかず、咽喉腫れ痛み、全身酸痛、心悸、胸痛、尿渋赤、神昏、譫語、舌紅絳、脈洪数 |
犀角地黄湯 |
|
結論5>
寒湿があると紅斑は暗紅、紫暗になる。湿熱では鮮紅色、毒熱が盛んだと紅斑。 |
血熱風燥 |
皮膚は鮮紅、皮疹は絶えずあり、紅斑増加、鱗屑とると薄膜見える、点状出血、心煩口渇、便干尿黄、舌紅黄苔、黄膩苔、脈弦滑或数 |
竹葉石膏湯合黄連解毒湯 |
血虚風燥 |
皮膚色は淡、部分的に消退、鱗屑多い、口干、便干、舌淡紅、脈細緩、進行期で紅斑がはっきりしているなら石膏、知母加味する。 |
|
瘀滞肌膚 |
皮膚は肥厚して浸潤、色は暗紅。不退舌紫暗、瘀斑、脈渋或いは細緩、 |
桃紅四物湯 |
衝任不暢 |
月経中、妊娠中に出る、酷くなる。皮膚は丘疹と斑片を示し、鮮紅色から淡紅色、白色銀屑。舌紅淡紅、薄苔、脈滑数、沈細 |
二仙湯合四物湯 |
熱毒挟湿 |
発病は急、すぐに大きな片の紅斑になる、斑の上には密集した針先から粟粒大の黄色膿疱、壁薄く、破ると融合して片になる、結痂、会陰癤は表面に付着する、 |
五味消毒飲 |
風湿痺阻 |
紅斑で丘疹、上には白い銀屑。肝癤腫脹疼痛、
手指に多くみられる、舌淡薄白膩、脈弦滑或いは濡 |
独活寄生湯 |
熱毒傷陰 |
発病は急、全身に顔に瀰漫性紅斑触ると熱い、圧迫すると色あせる、鱗屑は大片で落ちる、高熱煩躁、悪寒心煩、口渇、便秘尿赤、舌紅絳、薄苔、無苔、裂紋、脈滑数或いは弦数 |
清営湯 |
|
5-5)乾癬の弁証分類(妙法解析
結論6>
血熱は鮮紅、紅斑である。血虚では淡紅。熱毒傷陰は清営湯で調理しているから邪は血分。そのとき紅斑は瀰漫性。熱毒挟湿では粟粒大の黄色膿疱のしたに
大きな紅斑があるから、その部位は深めである。 |
紅斑について
結論2 |
紅斑の原因としては病機から考えて、気分ではなく、血分の熱がほとんどを占めている。その色は鮮紅色から暗紅色までいろいろある。蕁麻疹の講義で赵纯修は「熱が血分に及ぶと血熱になりゆえに皮疹は赤くなる。」としている。また衛気営血弁証でも紅斑は血分の熱としている。 |
結論3 |
表4より暗紅色になるのは陰虚、気滞瘀血の時に多い。熱熾盛、湿熱なら鮮紅色としている。 |
結論4 |
血熱なら鮮紅色で、血虚なら淡紅色としている。風熱犯肺すなわち気分熱でも赤い紅斑である。ただその場合は指爪大であり、「孤立に存在して」を強調しているのは気分にあるからだろう。 |
結論5 |
寒湿があると紅斑は暗紅、紫暗になる。湿熱では鮮紅色、毒熱が盛んだと紅斑。 |
結論6 |
血熱は鮮紅、紅斑である。血虚では淡紅。熱毒傷陰は清営湯で調理しているから邪は血分。そのとき紅斑は瀰漫性。熱毒挟湿では粟粒大の黄色膿疱のしたに大きな紅斑があるから、その部位は深めである。 |
|
まとめ<紅斑の色について>蝶形紅斑、バラ疹、多形紅斑、乾癬より
「紅斑は血分の熱が多い。気分の熱でも起こるが孤立に存在して大きくない(指爪大)傾向。血分の熱は大きな斑になる傾向がある。紅斑の色については気分熱はバラ色の斑だから、鮮やかな感じがある。一方、血分熱では鮮紅色から暗紅色まである。たとえば熱毒熾盛、湿熱だと鮮紅色になる。暗紅色になるのは瘀血、陰虚、寒湿、気滞の場合になりやすい。色が淡い場合は血虚である。
熱のみでなく寒湿、瘀血でも紅斑はでるが、暗紅がおおい」 |