テレビや雑誌の宣伝から、多くの人は「漢方は自然の生薬を用いて、体にやさしい。そして体質改善をすることによって病気を治すことができる」と思っているようです。これは間違いではありませんが、善いところしか宣伝していません。リ○ビタン○は、「疲労回復にいい」と宣伝するのと同じです。この飲料はビタミン剤がはいっていて、確かに疲労にいい面はあるのですが、ビタミン剤のみなら不味くて飲める代物ではありません。だから高濃度の砂糖をいれて飲みやすくしているのです。ですからこれを毎日飲んでいると、糖尿病になります。テレビの宣伝は一側面を強調して売ろうとするので注意が必要です。自然の生薬を使う煎じ薬は、まずいし、高いし、作るのに手間がかかるので三重苦があるといえます。(医者も収益が全く上がらないので4重苦ともいえます)
「西洋薬は副作用が多いから、体にやさしい漢方で病気を治してもらいたい」という人も多いです。これも間違った考えです。西洋薬は副作用が多いのは確かです。なぜなら非自然的な薬がほとんどだからです。例えば胃酸をブロックして病気を治そうとします。短期間ならまだしも、長期連用して胃酸の分泌回路を遮断することは非生理的なことです。人間の体の胃酸は必要だからあるのです。無理やり遮断を続けることはきわめて非生理的で、体がおかしくなるのは当然です。西洋薬はこんな傾向の薬がほとんどです。漢方薬はそれに代わるものではありません。漢方薬は体の機能のゆがみを是正して、本来の自然治癒能力が十分に発揮できることを促進するのが主な作用です。 病気で苦しんでいる人は、病と戦って負けているのと同じです。漢方薬は、試合に勝つために、バッティングフォームや投球フォームを治していくのです。体の乱れ、つまり具体的には、陰虚、陽虚、気血不足、瘀血、湿熱などを是正していきます。しかし、それだけでは試合に勝てません。本人の基本的身体能力を高めることが必要です。毎日のランニング、素振り、キャッチボール(毎日の歩行、正しい食生活、規則正しい生活リズム)が不可欠です。病気を治してもらうのではなく、コーチ(医者)と協力して、個々の能力を高めて試合に勝つことを目標にしています。一方、西洋薬は、個人の能力を高めようとしません。強力な助っ人を連れてきて、試合に勝とうとするのです。そういう根本的に違うことをまず理解してください。西洋薬は他力本願で、漢方薬は自力本願です。自分も努力して治そうとしない人は、漢方は無理です。強力な助っ人に頼ってください。
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